2024年3月3日(日)、東京都葛飾区にある鬼木医療学園 国際鍼灸専門学校で、日本伝統鍼灸学会主催の伝統鍼灸臨床セミナーが執り行われ、伝統鍼灸学会学術部員である私、坂井祐太が講演して参りました。
伝統鍼灸臨床セミナーは第8回を迎え、複数の伝統鍼灸系会派の講演を同時に聞くことができるセミナーとして、特に学生を中心に人気のセミナーです。
2022年の第6回には「更年期の異常の診察診断治療」というタイトルで尾崎真哉副代表が登壇されています。
今回のセミナーでは、天地人治療会から光澤弘先生、漢方鍼医会から二木清文先生、北辰会からは私が登壇し、それぞれの立場から体表観察について講演しました。
私の担当したパートは背候診で、背候診(背診)の概要をスライドで説明し、その後モデル患者を診察・デモ治療を行いました。
背候診は学校の教科書である『新版 東洋医学概論』で紹介はされていますが、実際学校の授業で触れられることは殆ど無いようです。会場の皆さんに背候診の経験の有無を尋ねると、何と経験者はゼロという結果でした。「まずは体験してもらおう!」と事前に考えていた内容を急遽変更し、会場の皆さん全員にモデル患者の背部兪穴を触診してもらうことにしました。
会場にお集まり頂いた受講生の多くは国家試験を終えた3年生が中心ということもあってか、皆さん手指の感覚が良くかったです。手をとってツボの状態をそれぞれ確認してもらい、背部以外の経穴に刺鍼し、背部兪穴の変化を体験して頂きました。
百会に瀉法すると肝兪の実が緩み、中脘に補法すると肺兪の虚が埋まる、北辰会では当たり前のように語られる現象ですが、学生の皆さんにはとても不思議に見えるようで、驚きの声を複数頂きました。
受講生の皆さんにとって鍼一本で起こる変化を知って頂ける機会になったのであれば、望外の喜びです。
最後に、この場を借りて貴重な機会をご提供頂きました日本伝統鍼灸学会の皆様に御礼を申し上げます。
(文責 正講師 坂井祐太)