問診・体表観察・病因病理のポイントとは?

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こんにちは(*’ω’*)

ブログ課支部スタッフの小倉です。

1月28日、降り積もった雪がまだ残る寒い日に、今年最初の関東支部スタンダードコースが東京・高田馬場にて開催されました!

今回は実技がなく、講義のみの一日です。

しかも1日かけて、北辰会方式の診療の流れを一挙大公開!!

先週の本部スタンダードコースと同内容ですので、合わせて読んでみて下さい(‘ω’)ノ

 

それでは、内容に入ってまいりましょう。

目次

北辰会方式の問診

講師は准講師の坂井祐太先生です。

問診は、望・聞・問・切からなる4つの診察法(四診)の1つです。

四診に共通するのは、「以表知裏」。

身体の外から観察できる情報により体内の異常を察知します。

その中の1つである問診とは、診断の手掛かりを得るため、
患者から病状・病歴・生活状況・家族歴を聴取する診察法です。
出生前から現在までと、四診の中で最も長期間にわたる情報を知ることができるのが特徴です。

 

ちなみに他の診察法を時間的制約の観点から見てみると…

望診は、観察される神色形態それぞれの見方によって過去から現在までの状態を、

聞診・切診は、診察している今現在の状態を、

把握するためにそれぞれ適した診察法です。

 

つまり、問診は他の診察法と比べて、長いスパンの情報を得ることができ、なぜ現在の状態にあるのかというストーリーを推測する上で重要な診察法なのであります。

 

そして北辰会方式の問診は、弁証問診です。つまり弁証するための問診。

「証」はその時点における病の本質を示しますが、これは結果であり、病が起こる原因とそれを育む条件があります。そういった病の因果関係を問診であぶり出していきます。

北辰会方式の体表観察

講師は支部長・正講師の尾崎真哉先生です。

北辰会方式では、
望診(顔面診・眼診・舌診・爪甲診・皮膚診・毛髪診・聞診)

脈診、腹診、背候診、原穴診、井穴診、尺膚診、空間診、

と体表上に現れるさまざまな情報を得ています。

望診とは?

望診とは、術者の視覚をとおして、患者の顔・舌・爪・眼・分泌液・排泄物などを観察し異常を察知して内臓の病変を判断する診察法です。

望診には、離れて診る望診と近くで診る望診があります。

霊枢・五色篇にもあるように、患者から10歩程離れて感じることでその本質を直観するのが離れて診る望診。

近くで診る望診は、問診中、体表観察時、治療後に顔つき・態度・行動・顔面気色などに変化があったかを診ています。

そしてより詳細にみていくと、望診の中にも顔面気色診や眼診、舌診など多岐にわたり、それぞれの診断意義や診方があります。

 

尾崎先生は、北辰会方式の体表観察それぞれについて、診断意義や臨床に即したことを話して下さいました。

 

体表観察は、そもそも医療の原点である「手当て」そのものです。

そして体表観察する上で、目的意識を持ちつつも、あるがままの反応を捉えることが重要なのですね。

 

体表観察の必読書『体表観察学』をぜひ読んで下さいね☆

北辰会方式 病因病理チャート図作図

講師は学術副部長・正講師の竹下有先生です。

12月の講義でも今回の講義でも、繰り返し竹下先生が仰っていたことがあります。

「北辰会は中医学派ではなく、鍼灸弁証論治派である!!!」

 

鍼灸弁証論治とは…

理・法・方・穴・術を具体的に臨床で運用する過程であり、局所と全体、現象(標)と本質(本)、原則と融通性などが融合して為されます。

 

北辰会は中医学派とよく言われますが、単純な中医学派ではありません。

理論のベースは中医学にありますが、中医学の考え方のみで診断治療を行っているわけではないのです。

 

中医学と北辰会方式とでは、治療戦術の考え方でも大きく異なる部分があります。

中医学では、病変の本質に対する治療(本治)と、主要症状に対する治療(標治)を同時に行う面がありますが、

北辰会方式では、標本主従を弁えて、時には先標後本、あるいは本治のみ、
あるいは急性の発作時には標治のみを徹底的に行い、発作が落ち着いた段階で本治にとりかかるなど治療戦術の順序を弁えます。

 

弁証は、四診情報を弁別・分析して証を導き出すことをいいます。

「証」は病の本質ではありますが、病の全過程を示すものではありません。

いわば今その瞬間を切り取った静止画。

それに対して、病の全過程における全体像と本質を表すことのできるものは「病因病理」です。

いわば過去から現在までのストーリーがわかる動画。

 

診療では、各弁証法の考え方を駆使して、絶えず「病因病理と証」を再構築していくのです!

それが今回の講義のタイトルになっている病因病理チャート図。

病因病理チャート図の基本形は、

です。この矢印の意味を意識し、問診や体表観察することがとても大事なのですね!

実際に病因病理チャート図を作成すると、病理から病因が派生する場合(例:肝気実を緩めるために過食や甘味過剰になる)や病因病理が複数存在する場合などもあります。

 

これにより病因病理の標本緩急・主従が明らかになればなるほど、より緻密な治療戦略・治療戦術が立てられ、予後予測の精度も上がるのですね。

そしてそのためには、多面的観察と論理的思考が重要なのであります。

 

会話形式で学べる『弁証論治のための論理学入門』もぜひ読んでみて下さいね☆

講義を受けての感想

今回の講義3つともに出てきた言葉が、「三因制宜」です。

では、三因制宜とは…

病の発症・増悪緩解・進行は、
時節や時間帯、月の満ち欠け、風の向き、地理的要因、患者自身の体質に大きく影響されるので
「人・時・地」の3つの観点に応じて、臨機応変に治則を変えたり治法を工夫したりする必要があること。(『北辰会方式 理論篇』より)

 

臨床において、三因制宜に注意することも大事ですね!!

 

そして、まずは実際にやってみるべき。
やってみないことには、いつまで経っても出来るようにはならない!!と竹下先生が仰っていました。
学ぶことはたくさんありますが、何年かかってもマスターできるように、一緒に勉強してまいりましょう!

 

昨今、関東支部でも会員数が年々増えております(^O^)/

鍼灸学生も臨床をされている先生も、目の不自由な先生も、鍼灸学校の教員の先生も、そして医師の先生も、そして北海道や東北などの遠方からも、男女問わず多くの方がご参加下さっております。

 

もしご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度定例会にご参加ください(*^^*)
来年度のカリキュラムも北辰会HPよりご覧頂けます。
初めての方にも安心して参加して頂けるよう丁寧に対応しております。

それでは今年も、鍼だけに張り切ってまいりましょー☆

 

以上、ブログ課小倉でした(*’ω’*)

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