
皆さまこんにちは。いよいよ新年度が始まりました。
今年度も学会や講演会が盛り沢山です。
今回は4月12日に日本東洋医学会 奈良県教育講演会が開催され演者として当会代表の藤本新風先生、座長として当会理事・特別講師の竹本喜典先生が登壇しましたので当日の様子をレポートしたいと思います。
今回の会場は奈良県立医科大学の畝傍山キャンパス…今年の4月から使われている新しいキャンパスでとてもきれいでした。
目次
今回の奈良県部会のテーマ
「診る力・治す力―東洋医学の臨床的思考を学ぶ」
オープニング講演「専門医取得に向けての基礎知識、勉強法と道筋」
奈良県立医科大学耳鼻咽喉科の岡安唯先生、竹本クリニックの竹本喜典先生が登壇され
専門医試験を受験するまでのプロセス、そして過去に受験された先生方から集めたアンケート結果を交えて準備や過去問などの紹介、問題解説をしてくださいました。ベテランの先生でも考えてしまうような問題がピックアップされ、会場では質疑応答が飛び交っておりました。
耳鼻科医の岡安先生は専門医試験に合格するに至るお話をされましたが、その中で特に印象に残ったのは症例報告で腹診が必要だったという症例です。耳鼻科の先生が、患者さんの診察椅子を倒して腹診をする、というイメージがなかった私は非常に驚くと同時に、患者さんに対して真摯に向き合われている岡安先生の姿勢に感銘を受けました。
講演「症例からみる中国伝統医学の徒手療法~推拿(TUINA)」
次は、天津中医薬大学鍼伮推拿学院 神戸校非常勤講師特定非営利活動法人TCM小児推拿協会理事長 新開庸雅先生の推拿治療の講演でした。按摩・推拿は、気持ちが良いまでとするものを按摩と呼び、疾患を治療する事を主眼とするものを推拿と呼ぶという違いがあります。新開先生は推拿の弁証論治や治療法、そして症例を紹介してくださいました。
交通事故による骨折、コロナ後遺症、糖尿病など多様な症例の写真を交えてのお話だったので非常にわかりやすく推拿の効果を知ることが出来ました。また、小児推拿学で「小児特定穴」という特殊な経穴があるというお話は鍼灸学校でも聞いたことのない経穴で興味深いお話でした。
実技では新開先生自ら被検者の上肢や下腿に手技をされ、被検者も新開先生に実技をしていただくことが出来、とても分かりやすい実技でした。
私は推拿に触れること自体が初めてでドキドキしましたが、新開先生は丁寧に詳しくレクチャーしてくださいました。私が受けたのは小児推拿の手技だったのですが、とても心地よくなりました。
「鍼伮腹診(夢分流)と漢方腹診」
北辰会代表理事 藤本新風先生は夢分流腹診について解説されました。
腹診について、どのように日本で腹診が発展していったのか、先人の腹診書籍の紹介を交えながら紹介されました。
江戸時代に刊行された、夢分流の考え方や秘訣を記した書である『 鍼道秘訣集』の中から「お腹」をどう捉えるか、お腹から全身を見るとはどういうことか、我々北辰会でどのようにそれを応用しているのか症例動画を交えてのわかりやすい解説でした。また、腹部の上下についてのお話では、夢分流腹診術で病位・病勢を把握すれば、処方の絞り込みの判断材料にも応用できるのでは?と西洋医の先生方にお話されていました。
さらに、夢分流による漢方処方の解釈の一例として「八味丸」を取り上げ紹介されたのですが、とても面白いと思いました。
この講演を聞いて、私自身の中で同じ「腹診」とは言っても、漢方でいう腹診と、夢分流でいう腹診とはどう違うのか、その違いが明確になり、「腹診」についてさらに掘り下げて学ことができました。
私の患者さんの中にも漢方を服用されている方がいますが、その漢方が効いているのかいないのかを見て、それを診断の材料にすることができることがわかりました。今後の臨床において、今回学んだことをしっかり活かしていきたいと思います。
今回の実技ではモデル患者に腹診をする西洋医の先生方に新風先生がレクチャーされました。触り方や反応所見の出方などについて、質疑応答が飛び交い受講生と新風先生とのやり取りも盛り上がっている様子でした。また、被検者に新風先生自ら刺鍼術も披露され治療前後の体表の変化について被検者の先生方は驚かれていました。
いかがでしたでしょうか?
一日でとても濃厚な東洋医学の時間を過ごさせていただくことが出来ました。
「参加してみたかった」というそこのあなた😊
安心してください。まだチャンスはあります🌟
今回の奈良県部会の内容はオンデマンドで2025年5月31日まで視聴可能です。
オンデマンド配信で、3,000円で視聴できます!https://jsom.manaable.com/login/04cb110a-930e-45e0-8fe1-f0a23cea10e9/detail
今回奈良県部会に参加させていただき、新しい学びがたくさんありました。
今年は勉強会や学会に積極的に参加し、そこで得た知恵と知識を私自身の臨床に活かしたいと思います。
奈良県部会の先生方、貴重な場を設けていただきありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。