
心地よい風が吹き抜ける5月!
外を歩くと、爽やかな初夏の香りに思わず深呼吸したくなりますよね。
5月11日(日)、そんな清々しい季節の中で、北辰会関西部会の定例会が開催されました!
今回は、その楽しい模様を皆さんに、わたくし木山がお届けします!
目次
午前の部:体表観察(望診/腹診)、腹部打鍼術
午前は基礎実技「望診&腹診、腹部打鍼術」でした。
北辰会では、実技の班分けがされており、自身のレベルに合わせてコースを選択できます。初学者の方でも、講師の先生が丁寧に教えてくれるので、安心して受講してください。
今回は、初中級コースの実技指導の様子をお伝えいたします!
初級と中級コースの間である初中級コースは、基礎は分かるけど応用ができない方や、すでに中級レベルの方など、技術レベルの差が広いです。
ある会員の先生が、「腹診における少腹急結の所見をうまくとれない」と悩んでいる中、講師の先生が「肝相火の延長線と思ってとってみて」と指導したところ、自然とその受講者の視野が広がり、上手くとれるようになっておりました。
ちょっとした意識で見える範囲が変わったりする、それが体表観察の奥深さですね。
私も大変勉強になりました。
初中級コースの先生は、まずカルテをしっかり記入し、所見を頭の中で整理し、顔やお腹、舌などの情報を繋げるようにすれば、中級に上がれると思います。
一つずつ丁寧に研鑽していくことをお勧めいたします!
【午後の部 講義】 驚悸・怔忡 副島香織先生
動悸や不整脈を訴える患者は少なくありません。
こうした症例に遭遇した経験がある先生も多いことでしょう。
私自身も、治療が順調に進んだケースもあれば、思うような結果が得られなかったケースもあり、様々な経験が思い出されます。
午後の講義では、准講師の副島香織先生が「怔忡(せいちゅう)」「驚悸(きょうき)」について、中医学の観点から解説してくださいました。
患者が胸に急激な跳動を感じ、驚きや恐れ、不安などを覚えるものを東洋医学では、「心悸」といいます。自分の意思では制御できず、不整脈になる場合もあります。
西洋医学では、循環器疾患、自律神経の乱れ、心臓以外の疾患(甲状腺機能亢進症、貧血、低血糖、呼吸器疾患、脱水症状)、薬の副作用、飲酒やカフェインなどあらゆる原因があると言われております。
中医学では「心血不足」「陰虚火旺」「心気虚」「心陽虚」「水飲痰濁凌心」「瘀血阻絡」など、複数の病理機序があると考えられています。
講義では、古典医学書である『黄帝内経』をはじめ、漢代の『金匱要略』『傷寒論』、宋代の『済生方』、元代の『丹渓心法』、清代の『医林改錯』や『医宗金鑑』など、歴代の名著に記された関連記述も紹介されました。
また、具体的な症例も挙げられ、「本虚であることを忘れないこと」「安心感を与えることが重要」と強調されておりました。
古典の知識と臨床経験が融合した講義は、参加者も深く頷きながら聞き入っている様子で、「動悸」や「不整脈」など心の臓に関わる疾患への理解が一層深まる有意義な時間となりました。
次回の講義も楽しみですね。東洋医学の奥深さを学びつつ、実践に活かせる知識をさらに積み重ねていきましょう。
【午後の部 講義】古典ライブ「怔忡」「驚悸」「虚煩」 藤本新風代表・奥村裕一学術部長
古典ライブ第22回、今回のテーマは 「怔忡(せいちゅう)」「驚悸(きょうき)」「虚煩(きょはん)」。
藤本新風代表と奥村裕一学術部長が『万病回春病因指南』を題材に、心胸部に現れるこれらの病証について、詳細な解説が行われました。
参加された皆さんも、熱のこもった講義に引き込まれ、メモを取る手が止まらなかったのではないでしょうか?
「怔忡」「驚悸」「虚煩」について
怔忡・驚悸は病理的に連続しており、驚悸が長引くと怔忡となります。
現代中医内科学では「心悸」として扱い、いずれも心疾患に相当します。
虚煩は、『病名彙解』に「心胸煩擾して寧からざるなり」とあり、心療内科領域の胸部や不眠を中心とした病症です。
今回は、この3つをちょっとだけ紹介します!
<怔忡>
怔忡とは、日常的に動悸や胸の不快感があり、甚だしい場合は、心臓が飛び出すくらいにドキドキします。驚悸に比べると重い症状になります。
「怔忡者,心無血養,如魚無水,心中惕惕然而跳動也,如人將捕捉之貌。若思慮即心跳者,是血虛也。」—『万病回春』
心の臓を金魚鉢で考えると、金魚鉢は心、金魚は心神、水は心血・心陰を指します。
怔忡は、まるで水が不足して金魚が跳ねるような激しい鼓動が起こります。
これは心血が不足し、神気が揺らいでいる状態です。ストレスを感じるとすぐに症状がでてくる背景には、「肝鬱がメインであっても心血不足がある」という解釈にもつながります。
<驚悸>
驚悸とは、必ずしも驚くような場面でなくても、驚き心悸するものをいいます。
情緒の変動、驚き、疲労などによって誘発され、前述したように、驚悸が長引くと怔忡へと進展します。
「心胃の氣怯弱に乄収まらず」
背景に心や胃の気の虚弱があり、動悸が治まらないと説明がありました。
『臓腑経絡学』にも記されているように、陽明胃経の経別は「心」を流注しています。これが、陽明胃経の問題が心の主血脉や主神明に影響を及ぼす根拠となりますね。
ここから、怔忡と驚悸の病理について、「医法明鑑」「医学入門万病衡要」「景岳全書」「提耳談」「雑病広要」「脈法指南」など、さまざまな古典を紐解きながら解説が進みました。さらに、古典に記載されている脈状についても深掘りされ、副島先生の症例を参照しながら温胆湯や膜原との関連性まで展開されていました。
改めて、北辰会の学術力の高さを実感しましたね。
ここでは詳細を省略しますが、気になる方は北辰会の会員になることで、Eラーニングで「古典ライブ」はいつでも視聴可能です!
<虚煩>
虚煩とは、『病名彙解』に「心胸煩擾して寧からざるなり」とあり、心療内科領域の胸部や不眠を中心とした病症です。
「心煩不得眠者,心熱也。但虚煩不得眠者,膽寒也。」—『巣氏病源』
「虚煩者、心胸煩擾而不寧也。加味温膽湯治病後虚煩不得臥及心膽虚怯、觸事易驚、短気悸乏。」『万病回春』
「虚は病因、煩は病證なり。胸中煩擾憒乱して安からざるは心膽の虚に生ずる者なり。」—『万病回春病因指南』
心の虚熱は、胸中煩熱。胆虚は、胸気煩乱。
これらは、病位のウェイトの違いによって多少病症が異なることを示しています。
胆虚の場合は、少陽の陽気が不昇となり、上焦に届かないために胸気煩乱するということですね。
これ以外にも、心脾両虚による中焦の痰濁の影響や大病後、傷寒病の汗下法の後に気津が回復しないために起こる場合もあると説明がありました。
まとめ — 心胸部の病証をどう診るか
今回の講義では、征忡・驚悸・虚煩の違いが明確に整理され、非常に学びが多い内容でした。また、これらはいずれも心胸部に関わる病症であり、病因・病機の上でも深いつながりがあることが分かりました。
共通するのはベースに虚があるという点です。これらを見極めるためには、体表観察の情報だけでなく、患者さんの日常的な精神状態の変化、生活環境、体質にも目を向ける必要があります。
そして、患者さんの体の状態をありありと捉えることが、診断の精度を高める鍵であると感じました。
関東部会定例会
日時:5月25日(日)
場所:AP西新宿
10:00~12:00 体表観察研鑽(望診/腹診)、腹部打鍼術
12:00~13:30 お昼休憩
13:30~16:30 症例検討会 発表:鈴木綾佳、解説:竹下有/山本克仁
関西、関東共に聴講生受付中!
予約なしで当日受付にて参加費10000円お支払いいただくと、10時〜16時半までの実技・講義を受けていただけます!
学生限定!「無料体験会」
学生会員募集中!
通常10000円や5000円の聴講費が無料!
在学中に体表観察実技を極め、周りの学生さんたちに差をつけましょう!!
『e-ラーニング』
eラーニングのプレミアム講座では
藤本新風代表、奥村裕一先生による『古典に学ぶ病因病機学『万病回春病因指南』⑭』
竹下有先生による『経穴の(個人的な)捉え方』が配信されます!!
5月〜7月の期間限定で受講可能となっております。
事前に予習をしておいて、より一層理解を深められるようにしておきましょう!
その他、5月1日より
eラーニングの随時配信、期間限定配信が受講可能となっております!
過去の古典ライブのアーカイブ動画も
アップされておりますので要チェックです…!!
連休の、ちょっとした空き時間に…
是非ご活用下さいませ。
五月病知らず!
連休後も北辰会はアツい!!
皆さん、一緒にたくさん学んでいきましょう〜!
☆北辰会では新規会員を随時受付中☆
5月から北辰会:本会員・学生会員・准会員の入会も大歓迎!!
オンラインだけ視聴されたい方には、“准会員”がオススメです。
・入会論文不要
・面接不要
・書類審査のみ
なんと!
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本会員と比べてとっても手続きが簡単になっています。
ぜひご参加ください(^^)/
*本会員と准会員、学生会員では視聴できる動画の範囲が異なります。ご注意ください。