5月13日北辰会・エキスパートコースでは、症例レポート(会員の症例を皆で検討する会)、常用兪穴刺鍼デモ、応用実技が行われました!
今回のブログでは、症例レポートでの論点になった「虚実」を中心に、その模様をお伝えしていきます。
目次
「打鍼による腰痛及び頚痛の一症例」
今回の症例レポートでは、坂井祐太先生が打鍼で治療に当たられた腰痛と頚痛の症例をテーマに取り上げ、検討会が行われました。
「主訴:腰痛と頚痛」
48歳女性
1年ほど前から頚痛(R>L)を発症し、半年前から腰痛(L4を中心に半径10cmの円状の範囲)を自覚し来院されたとのこと。
鍼灸院によく来られる症状ですが、どんな病であっても、
それがどういった病因(病の原因)病理(メカニズム)で起こっているのか、
またその病理を改善するために、どういった処置が最も妥当なのかを、
東洋医学の立場から把握する事を北辰会方式では大切にしています。
「虚実の見極めの基本は?」
今回は、虚実がどうであったのか、という点が会場から最もたくさん質問が挙がりました。
虚実とは、生命を助ける気である「正気」が弱っているのか(正気虚)、生命を脅かす気である「邪気」が旺盛なのか(邪気実)を意味します。
治療において、この虚実を間違えると悪化するため、その見極めが非常に大切です。
正気の弱りが中心であれば、補法によってその弱りを助ける。
邪気の旺盛さが中心であれば、瀉法によってその旺盛さを収める。
というのが基本です。
「虚実と標本を関連させて判断する方法とは?」
中医学では、虚実弁証という形で、舌・脈・症状などから虚実を分類しますが、
北辰会方式では、それに加えて正邪弁証を行います。
この弁証によって、虚実の標本(どちらが根っこで、どちらが枝葉か)がはっきりします。
そのため、虚実錯雑であっても、迷うことなく補瀉のウエイトを判断することができます。
今回の症例で正邪弁証を行うと、
邪気実>正気虚(邪気の旺盛が中心で、正気の弱りはそれほどでもない)
という結果でした。
「邪気実によって、正気虚が起きている」という判断ができれば、瀉法を中心に行えば良いですよね。
また邪気実が中心だけれど、正気の弱りもそこそこ認められる場合には、正気の弱りに配慮した瀉法が求められます。
坂井先生は、治療法で蓮風打鍼®︎を選択し、見事一回の処置で主訴を半減させておられました。
ハニカミながら写真撮影に応じて頂いた坂井祐太先生☆
今回取り上げた「正邪弁証」は、北辰会スタンダードコースにて、詳しく講義があります!
東京会場は11月11日。大阪会場は12月2日です。
詳細はこちらから→https://hokushinkai.info/05regular.html
虚実の理解をもっと深めたい先生方のご参加お待ちしております!
「常用兪穴刺鍼デモ」
藤本新風先生による刺鍼デモの様子(足三里に刺鍼する前)
同日には、藤本新風先生による常用兪穴刺鍼デモも行われました。
それぞれの経穴にどのようにして刺鍼を行うか。
鍼灸を生業とする仕事は、どれほど診断が正しくできていても、高い効果を出せるかどうかは、最終的に手技にかかっています。
刺鍼デモでは、照明や周辺機器、色の管理をきちんと行っているので、北辰会方式での手技を余すところなく、非常に鮮明な映像をスクリーンで会場全体から見ることができます。
また、カメラがかなり手元に寄った位置からの映像なので、普段では中々見ることのない角度から自身の刺鍼と照らし合わすことができます。
(こちらはiPhoneで拡大撮影した写真です。会場ではもっと綺麗に見られますよ〜)
今回は、速刺速抜のスローモーション映像もあり、「一瞬で終わってしまう技を細かく分析する」という試みもなされました☆
「苦手分野を克服する応用実技」
同日、午前中は小グループに分かれて実技の研鑽です。
今回のテーマは、受講生各々が苦手とする内容がそれぞれのグループで行われました。
普段の臨床での疑問点、北辰会方式ではどのように考えるのかなど、ここでは自由に気軽に聞くことができます♪
ご興味のある方は、ぜひ会場までお越しくださいね。