2018年9月2日大阪上本町にてエキスパートコースが開催されました!
午前中は「応用実技」午後からは「問診情報と体表観察情報との繋げ方」「アトピー性皮膚炎の症例レポート」という内容でした。
この記事では、最高の治療結果を出すために必要となる情報収集のポイントをお伝えしていきます!
目次
「問診情報と体表観察情報との繋げ方」
講師:山本克仁正講師
皆さんの中には、様々な角度から問診と体表観察を行った結果、「肝鬱気滞」や「脾気虚」など、色々な弁証が成り立って、一体どれがどう関係しているのか分からなくなることはありませんか?
またそれらの病理機序が整理できたとしても、一体どの経穴を選択するのがベストなのか、判断に迷うことはありませんか?
・時間をかけて丁寧に問診をとった結果、弁証に必要な証明因子は揃っている。
・実技で培った体表観察能力を遺憾なく発揮して、脈・気色・舌の診察や経穴の状態は正確に取れている。
しかし、いざ施術するとなった途端に
・情報が繋がらず、漠然とした配穴をもとに治療をしてしまう。
・後から考えると、むしろ別の経穴が良かったのかもと不安になる。
・再び患者さんが来られたときに症状の改善がみられず、以降治療がすべて後手になってしまう。
こういった経験をされている方に、まさに最適な講義内容でした^ ^
適切な情報収集をするには?
大切なポイントの一つして
「病理の関連に目的意識をおいて、一つの繋がりとして情報収集を行えているか」
が挙げられます。
例えば、「寝汗をかきました」と患者さんが訴えているとします。
この時、「寝汗=陰虚だから陰を補うツボに配穴すれば良い!」だけで終わっていないでしょうか?
あるいは「寝汗があったのですね。食欲はどうですか?」と別目的の問診に移行してしまっていることはありませんか?
ここで、病理の関連に意識があると、こちらから能動的に一つの繋がりとして追加で確認していくことができます。
寝汗がありました→お通じはどうでしたか?
コロコロでした→手足の寒温はどうでしたか?
寝ようとしたら火照ってきます
→陰虚の可能性が高く、体表観察で確認していこう!
→舌は乾燥?舌苔は?裂紋は?脈は重按で力はある?各臓腑の陰に関わる経穴の反応は?
といったことから
病位はどこか?上焦と下焦の比較ではどうか?血と水だとどちらの不足が中心か?寒熱のウエイトはどの程度か?
→それに関する体表所見を確認してみよう!
などのように、病理の関連に意識があると、すべて一連の繋がりとして詳細に確認して行くことができますよね!
もちろん、臨床上では一つの症状だけを訴えてこない場合も多々ありますが、複数の症状があっても方法は同じです◎
また、患者さんが正確に症状を訴えているとも限りません。
訴えている内容と体表所見が明らかな矛盾が生じている場合も、こういった一連の繋がりとして診て行くからこそ見抜くことができるようになっていきます( ^∀^)
「アトピー性皮膚炎の症例レポート」
演者:松本賢一准講師
32歳女性。小児期より主訴発症し、約半年前より主訴増悪。
松本先生が実際に治療にあたっている患者さんで現在3ヶ月目。先ほど挙げたポイントをしっかりと抑え、良好な経過を辿っている症例でした。
問診において、発症時期、部位、性質
主訴の増悪・緩解因子
自分を取り巻く環境の変化(家族や仕事など)
など、基本的な情報を収集する段階においても
発症時期前後の環境(住居・家族・仕事など)や精神的な変化の有無
部位毎の症状や性質の違い
増悪・緩解因子の中でも特に影響が高い因子の特定
環境変化の中でも特に影響が高い因子の特定
などを問診で大きく掴んでおくことが大切です◎
病理を特定する問診
もし仮に、肝鬱が中心になって症状を発症しているなら、精神的負荷がかかると主訴が増悪するはずです。
さらに精神的負荷がかかっている最中に発症するのか、ひと段落してから発症するのかといった心神との病理関係も繋げて確認していきます。
また湿痰が中心になって症状を発症しているなら、湿邪や痰邪が助長されると主訴が増悪するはずです。
飲食後に増悪するのか、体重の増加に伴って増悪するのか、湿度が高い時に増悪するのか。
さらに、飲食後に増悪するとしても、楽しい食事の後はむしろ緩解するのかどうか?など、肝鬱や心神の問題と繋げて問診するなど、一つの病態だけに捉われず繋げて確認していくことが大切です。
そして、これらの情報と体表所見を繋げていくことで、より正確な情報収集ができ、より良い治療に繋がっていきます。
まさに「病理の関連に目的意識をおいて、一つの繋がりとして情報収集を行えているか」
がきちんと行えているかどうかが、大切なのですね!
会場ではより詳細にその内容を聞くことができました☆
症例を解説される奥村裕一学術部長、藤本新風代表
「応用実技」
午前中の応用実技では、個々の経験に応じた体表観察の実技練習がありました。
1日を通して問診から体表観察の一連の流れを、要素ごとに確認できたのではないでしょうか。
まだ参加された事のない方もぜひ一度定例会へ足を運んでみてくださいね☆