こんにちは! 梅雨が明ける前の7月21日(日)、関東支部定例会が、
東京・高田馬場のワイム貸会議室で開催されました。
午前の講義は、渡邉久子先生による「中医眼科学基礎」と
竹下有先生による「十二皮部について」で、午後は藤本新風代表講演
「経穴の考え方」と原穴診、背侯診、取穴の実技が行われました。
今回は特に「中医眼科学基礎」は関東支部で初めてお話されるということで、支部の名誉会員の先生もお目みえするなど、参加者の高い関心が寄せられていました。
目次
「中医眼科学基礎」
今回は「眼と臓腑の関係」、「眼と十二経絡の関係」の2つポイントに絞り、
丁寧に解き明かしていただきました。
眼と臓腑の関係
五臓六腑の精気がそれぞれ眼とどう関わっているかをお話いただきました。
最初に学校で「目は肝に開竅する(『素問』金匱真言論)」について習うせいか、
私たちは『目の疾患=肝の問題』」と捉えていることが往々にしてあります。
私は春になるとアレルギー性結膜炎を患うので「肝気の高ぶる春先になると、目の症状に悩まされるからやだなあ」と毎年考えていました。
しかし、渡邉先生は「『目=肝』と短絡的に考えてはいけない」ことを
講義中に何度も強調されていました。
例えば、「眼と肺・大腸の関係」の説明で、皮毛の衛気が不足しても
「目の病い」になりやすいと伺ったので、私のアレルギー性結膜炎も、必ずしも肝だけに原因を求めるのではなく総合的な判断が必要ということがわかります。
各臓腑は相互関係があって、生理上・病理上においても影響し合っていることを忘れてはいけないということがわかりました。
眼と十二経絡の関係
各経絡の経脈、経筋、経別が目の周辺に流注しているかについて、図を見ながらお話いただきました。
私が興味深く感じたのは、「心経」の流注図の解説時に、不同視の小児に心兪に金の古代鍼で治療されたお話しと藤本蓮風会長が「視神経委縮」の治療を心肝面から導き出されたお話しでした。
「鍼でそこまで治せるんだ!」と驚くと共に、思い込みにとらわれることなく、丁寧な体表観察と各臓腑、経絡の特徴と流注をしっかり把握し、病症分析することの大切さがわかりました。
「十二皮部について」
竹下有先生は「鍼灸師は日頃、皮毛・皮部の部分を観察し、処置を施しているのだから、もっと皮毛・皮部に関しての認識を深めることが重要ではないか?」と提言されました。
今回は「十二皮部とは何かを理解する」と「衛気について理解を深める」という2つのポイントで熱く語っていただきました。
十二皮部とは何かを理解する
ここでは皮部の呼称や由来について学びました。三陰三陽でそれぞれ皮部の呼称が異なり、例えば陽明経は「害蜚(がいひ)」という名称がついていることなど初めて知りました。
また皮部論における百病伝変ルート(皮毛→絡脈→経→腑→臓)をお話いただきながら「初動の大事」、「早期治療の大事」を強調されました。
皮部は経絡を通じて五臓六腑全てと関わっています。だから「皮部について詳細かつ的確な観察は重要」と述べられました。
衛気について理解を深める
北辰会は近年特に「衛気を意識」しています。衛気は皮部を中心に流れ、体表面を衛る気であるところから、(特に初学者は)迂闊な操作で治療を行うことは危険であり、観察も操作も繊細に行わなければならない、という点について先生にご説明いただきました。
十二経絡のルート上の皮毛部分(皮膚表面)である「十二皮部」について、学生時代も卒業後も習ったかどうか、定かではありません。なので、今回しっかり学ぶ機会を持つことができて本当によかったです。
「経穴の考え方」
藤本新風代表には、十四経脈上に存在し、特殊な治療作用を持っている特定穴(要穴)についてお話いただきました。
体表観察時のヒントとしては、経穴の観察を通じて、同時に経絡・臓腑を診るという視点が大事とおっしゃっていました。
例えば、原穴診で太白穴を取穴する時は、足大陰脾経全体を認識するつもりで取るということです。上達する人とそうでない人との差はそういう意識の持ち方で違ってくるのだな、と感じました。
「1穴の意味を常に掘り下げる習慣を持つことが大切」
新風代表がまとめの言葉として述べられた言葉が印象に残りました。
基礎実技(原穴診・背候診・取穴)
実技デモンストレーションには、藤本新風代表に再度ご登場いただきました。
取穴は「申脈」と「陰稜泉」です。
初級〜上級班に分かれてそれぞれ午前、午後の講義で習ったことをもとに実技練習を行いました。今回も自分の見立てを講師の先生見ていただいて色々新たな発見を持つことができてよかったです。
8月25日は大阪・森ノ宮医療学園専門学校で「夏季大研修会」が開催されます。
打診実技や古代鍼実技は夏季と冬季の研修会でしか学べないので、とても楽しみです!
以上、関東支部ブログ担当、和田麻由子がお伝えしました。