支部の公開臨床!肩こりの1症例

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2020年1月26日(日)、今年度最後の支部定例会が開催されました!

午前は『基礎実技』、午後は『公開臨床』です。

本部では毎年とても人気の公開臨床シリーズが、支部でも行われました!

支部長の尾崎真哉先生が問診から治療までの公開臨床をして下さいました。

目次

公開臨床

そもそも、「公開臨床」という呼称や、実際の臨床を包み隠さず一部始終見せる、

というのは日本で最初に、藤本蓮風会長が始められました。

そして、今回は支部での公開臨床。

多くの方がご参加下さいました!

今回講演して下さったのは、関東支部長の尾崎真哉先生です。

尾崎支部長は開業して17年、支部長として12年、関東支部を支えて下さっている、経験豊富な先生です。

モデル

主訴:肩こり  27歳男性 未婚

肩こりは鍼灸院に来院される患者さんにとても多い症状です。

北辰会方式では、肩こりだから肩に鍼をするということはせず、四診で得た情報をもとに弁証論治して、少数鍼で治療しています。

主訴発症時~現在

主訴である肩こり(張り)を自覚されたのは専門学校生の頃。

テスト前になると、主訴増悪。夜遅くまで勉強するので睡眠不足もあり。

週末の運動で主訴緩解。

最も主訴を強く感じていたときのVASが10だとすると、現在7,8ほど。

前屈・後屈・側屈・回旋で全て右頚部に突っ張り感あり。

パソコン作業で感じる肩の張り感(右>左)がなくなってほしいというご要望でした。

この他、主訴にいたる経緯や随伴症状などについても聞かれていました。

増悪・緩解因子

主訴が増悪するのは、座位が続いたとき。

また、睡眠不足により全身の重だるさが増悪するが、主訴は変化なし。

主訴が緩解するのは、運動、入浴、休日。とくに運動すると最も緩解する。

湿布で主訴不変。

その他にも、体重の増減、飲食、ご家族について、出生時の状況なども確認され、病因病理を絞っていかれました。

また、会場からも質問が沢山出て、さまざまな視点からモデル患者さんの状態を導き出していました。

尾崎先生の問診は、鋭く感じられるような質問内容もそう受け取られないような、穏やかさを感じました。そして病因病理を絞るポイントもふまえて簡潔に聞かれていたのが印象的です。

解説頂いた竹下有先生からは、

肩こりを含めた整形外科的疾患についてや、喫煙や睡眠などの東洋医学的なメカニズム、患者さんとのやりとりについてなども話して下さいました。

問診で陥りがち

また解説頂いた山本克仁先生からは、

「問診で犯人探しにならないように。患者さんは何も悪いことはしていない。意図的に問診すると犯人探しになりがちです。」と仰っていたのが印象的でした。

日頃の自分を省みて、学ぶことが多くありました。


解説して下さった、山本克仁正講師(右)、竹下有学術副部長(左)

体表観察

問診後には体表観察を行います。

望診・眼診・舌診・脈診・爪甲診・原穴診・井穴診・腹診・背候診・尺膚診・空間診を行い、多面的にみて病因病理を絞り込んでいきました。

弁証・病因病理

弁証を肝鬱気滞(~気逆)証、右上に気の偏在ありと診立てられ、百会右に置鍼されました。

その後、白板に病因病理チャート図を作成して説明して下さいました。

結果判定

枯脈がとれ、肝兪、脾兪が緩んでいました。

患者さんの自覚としても、頚部の前屈・側屈・回旋の突っ張り感が改善されていました。

後屈は楽になるも半分ほど残りましたが、その後の懇親会が終わった頃には後屈も改善されていたそうです(^^)

尾崎先生は、初心者の方にも分かりやすいように、基本に立ち戻って行いました、と話して下さいました。

問診や体表観察情報から、腎虚や湿邪の可能性はありますが、今その時点での大きな病理は右上への気の偏在とみて、百会右に刺鍼されていらっしゃいました。

そして抜鍼後も体表観察を行い、経穴の反応がどのように変化しているかも確認します。

感想

問診から治療・養生まで、実際の臨床で行われていることを目の前で見ることが出来て、勉強になりました!

実際に鍼1本で効いているのを目の当たりにするのは貴重な経験です。

また教科書を読むばかりでは学べない、患者さんとのやり取りや一連の流れ、病因病理の組み立てなどさまざまなことを学びました。

基礎実技【腹診・空間診・取穴(天井・申脈)】

実技デモンストレーションは坂井祐太先生です。

空間診を診るときの1つのポイントとして、

百会を診るとき、患者さんの頭上に立って診ると患者さんの気がのぼりやすいので、患者さんの横から診るように、立ち位置にも注意します。

熱気あふれる会場!

2人ペアになって実技を行います。


実技指導中の竹下有先生

日々の臨床で知らず知らずのうちに自分のクセがついていることを、講師の先生に見てもらって気付きました。

そして同じツボを診るにも、何を意図してそのツボを使うのか、それによりツボの捉え方も変わってくると実感しました。

定例会や研修の翌日はいつも、臨床での体表観察や鍼の効果も変わるように思います。

最後に

今回は今年度最後の支部定例会でした。

次は2月末に冬季研修会があります!

そして、来年度のカリキュラムもホームページ上に発表されております☆

eラーニングや定例会、宿泊型研修会など学べる環境が充実していて、蓮風会長、新風代表はじめ魅力あふれる先輩方もいる北辰会☆

いつでも皆さまのご参加をお待ちしております(*^-^*)

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