目次
≪ 『コロナ禍』~ 夏以降の考え方 Vol.2 ~ ≫
前回は、コロナ禍の経緯から、目の前の患者さんがどのような病理状態にありうるか、ということについて示した。
今回は選穴例と共に刺鍼動画をご覧頂きたいと思う。
〖 公孫ー臨泣 〗
【公孫】:太陰脾経の絡穴、衝脈の主治穴
補(脾)気(陰)・・・相補気血(陰)
健脾利湿・清熱利湿、降逆
※補瀉は弁証および穴処の反応により変動します
【臨泣】:足少陽胆経の兪木穴、帯脈の主治穴
少陽枢機を調える・・・潜伏期間に邪が留まる膜原を透かす・・・疏肝(理気)
※疫毒の潜伏する場所とされる膜原に余裕を持たせる
※補瀉は弁証および穴処の反応により変動します
・戊土-甲木・・・剛柔陰陽
相互に効能を制約する面、活性化する面があるといえる。
※『難経』十難 参照
・衝脈-帯脈
一源三岐のうち衝脈は最も深い位置にあり上下する脈である。治療面では衝逆に対して効果を発する(肺炎に関わる心肺への衝逆を防ぐ)
帯脈は臍レベルを中心に一身を帯様にまとめ、衛気をフォローする面がある。
任督、陰陽の維脈、陰陽の蹻脈、は陰陽関係にあるといえよ。衝脈-帯脈は、一身の中心における上下の動き(衝脈)に対し、一身を外から帯びのように包む帯脈が陰陽関係にあると解釈できる。
以上を踏まえ、脾胃における虚実、肝気実、少陽枢機の不利、衛気不利、といった病態を鑑みて処置しておくことが肝要である。
【 指標 】
・脾兪・胃兪、足三里、三陰交、外関、太淵、合谷、雲門・中府などの虚実の反応
・心下~脾募・肺先・肝相火、胃土
・膩苔、舌尖~舌辺の状況
≪ 最後に ≫
自身が無症状病原体保有者かもしれない中、他人に感染さない、という努力はもちろん大切である。
「withコロナ」といわれる昨今において、仮に感染しても無症状、あるいは、軽度で済むよう術者自身はもちろんのこと、目の前の患者さんのために尽力することが我々の使命ではないだろうか。