鍼灸専門季刊誌『Tehamo5号』に藤本新風代表、藤原昭宏先生の症例報告が掲載!

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鍼灸専門季刊誌『Tehamo5号』に藤本新風代表、藤原昭宏先生の症例報告が掲載!

2022.11.20 尾崎真哉

 

今月発刊の季刊誌『Tehamo(てはも)』(旧・鍼灸OSAKA)5号掲載の、SARS-cov2の後遺症に関する特集「Long COVIDのケア&キュア」では、2019年中国武漢でのパンデミック発生から現在までの3年間にわたるSARS-cov2の国内での感染概要、および鍼灸各流派の先生方の治験ならびに医系、薬系、漢方の諸先生方の症例が報告されています。

 

現行の日本の法制度、医療体制の下では発熱時の鍼灸院での新型コロナウイルス感染者に対する治療は基本的には難しい状況です。しかし新型コロナウイルスによる発熱後の体調不良いわゆる新型コロナ後遺症を主訴とする患者さんを治療したという先生方は、北辰会会員の中にも多くおられることと思います。

 

日本国内では第6波以降、オミクロン株の流行に移行してからは感染後の重症度が低くなり、直接的な死亡原因となるケースはかなり減少し、世界的に見てもコロナパンデミックそのものの脅威は弱まりつつあります。

 

しかしその陰で、実際にコロナの後遺症で悩みながら、西洋医学的な見地ではそれを否定され、突き放された患者さんが、東洋医学つまり漢方薬や鍼灸治療に期待を寄せ、鍼灸院に来院するケースが多く存在しています。この特集からもそんな日本の現状が垣間見られますが、西洋医学一辺倒でない、統合的医療の概念が日本社会にも徐々に根付いてきていることを私自身個人的にも感じています。

 

本誌に掲載されているLong COVIDに対する症例は、鍼灸のみならず、湯液・漢方薬での治験例、またその併用例が掲載されており、全般的に東洋医学的診断の確認という点で??参考になる内容です。

 

他会の先生方の症例では、大阪の藤井正道先生、愛媛の東洋医学研究所の山見宝先生、千葉の平地治美先生はLong COVIDやワクチン接種後の後遺症や不調に対して中医学的分析を加えて診療・治療に当たられ、患者さんを治癒に導かれた経緯が記されており、北辰会方式を実践する先生方も一読すべき内容かと思います。

 

これらの先生方の治験例を読む際、北辰会方式と「よく似ている点」、「一見似ているようだが実際には全く異なる点」に留意して診断法や配穴方を比較し、北辰会方式の体表観察による診断法と正邪弁証、空間弁証を駆使した配穴法の優れた点、弁証論治の精密さなどを確認しながら読み進めて頂きたいと思います。

 

現在、東洋医学の臨床においては、診断・治療法は総じて先達の理論経験を継承、発展させ系統化したものを参考に実践していますが、各流派それぞれの思想・発展の経緯の違いによる「現代日本における伝統医学の花の咲かせ方の相違点」がよくわかる内容となっている点にも注目していただきたい。

 

そのような視座で通読していただくと北辰会からの二論文の鍼灸治療の内容がさらによく理解できると思います。

 

新風代表は「COVID-19罹患後症状の症例と考察」で、新型コロナウイルス第6波以降のオミクロン後遺症の治験を4例、藤原先生は「COVID-19ワクチン接種後再燃した帯状疱疹後神経痛の2症例」で、COVID-19罹患後の帯状疱疹の治験を2例あげています。

 

新風代表が提示した4症例では、各臨床における病理解析と配穴の妙、さらには治療に対する分析と自問反証が非常に参考になります。

6・7波のオミクロン株の外感病のとしての病位、病理解析

 

  • 心身一如の視点の重要性
  • 新興の感染病・疫病に対しては現代医学の解析は参考にしつつも、徹頭徹尾東洋医学の思想性と方法論を踏まえた鍼灸治療を実践することの有効性

について述べられています。

 

また、藤原先生の鍼灸と漢方治療を併用した臨床2例を紹介されており、

  • オミクロン株罹患後の VZV活性のメカニズム
  • オミクロン株罹患後の後遺症の発病パターンとメカニズム、病位解析
  • 新型コロナワクチンが生体に影響した場合の病位と病理解析

など興味深い論述が非常に参考になりました。

医師として東洋医学を実践されている藤原先生の、社会、医療界、厚労省の対応に対する思い、そしてなによりコロナ罹患後の患者さんに対する熱い思いが読む者の胸に伝わってきます。

 

 

是非本誌を手に取って読んでみてください。

https://book.morinomiya.ac.jp/magagine/view.php?item_pk=1666917866

 

感染力と重症度は比例してはいないようですが、今冬も第8波の流行に対して警鐘が鳴らされています。

日本でも社会活動が再開され、感染後の後遺症患者の増加は必至と思われます。

 

まだ本誌を未購入の北辰会の先生方には是非購読して頂き、現代西洋医学の考え方も参考にしつつ、「木に竹を接ぐ」のでなく、互いの理論を止揚し、Long COVIDによる各種症状で苦しむ患者さんの治療、救済に役立てて頂けたらと思います。

 

歴史を顧みれば、感染症とりわけ疫病のパンデミックを契機に社会的価値観や経済思想システムが一新されています。社会が変化する中にあって、東洋医学による患者さんの救済、医療実践で果たすべき役割が今後さらに重要性を増すことは間違いないと思われます。

 

最後に、今回のCOVID-19に対する中国の対応を振り返ると、武漢で次々と発症する患者に対して、早期から国家医療戦略として中医学によるガイドラインが作成され、臨床で活用されていました。その医療実践から日本の東洋医学者も学ぶことが多くありました。ITインフラを有効活用した中医学の今回の対応は今後中国医学史に深く刻まれて行くことでしょう。

 

日本国内でもそれを参考に、漢方薬による医療実践が行われ、後遺症Long COVIDの治療にも漢方や鍼灸が活用され、患者さんの救済に寄与することができました。これらもまた、日本東洋医学史に刻まれて行くことでしょう。

 

最後に再度購入先リンクを紹介しておきます。

在庫に限りがありますのでお早めにご購入を!!

https://book.morinomiya.ac.jp/magagine/view.php?item_pk=1666917866

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