「気と(無)意識と古代鍼®の臨床」藤本新風代表講演
2022年10月29日(土)~30日(日)
2022年(令和4年)10月29日土曜日、東京都江戸川区船堀にあるタワーホール船堀において掲題の講演が開催されました。
他にも
・学生セミナー「気を意識した刺さない鍼の実技」竹下有先生にて実技披露。
・学術部セミナー「伝統鍼灸の確立に向けて―伝統鍼灸の過去・現在・未来―」にて 坂井祐太先生がご発言。
・奥村裕一先生が座長として一般口演をとりまとめ。
・日本伝統鍼灸学会創立五十周年記念賞 著作出版部門で会長特別賞を受賞ということで、藤本蓮風会長が受賞者としてのコメントをされるなど、
当会としても盛り沢山の2日間となりました。
日本伝統鍼灸学会もコロナ禍によってなかなか対面での開催が出来ずにありましたが、今回は対面+アーカイブ配信など遠方にお住まいの方も学ぶ機会を残しつつの開催となりました。
久しぶりの対面開催にも関わらず、アーカイブ配信ではなく、実際に雰囲気や気の交流をするべく、たくさんの方がタワーホール船堀へ訪れていました^^
(11月10日までアーカイブ視聴の受付を行っているようですので、ぜひお申し込みください。)
※詳細は下記ホームページまで
お申込み | jtams 第50回日本伝統鍼灸学会学術大会 東京大会
今回、私は新風代表の秘書・助手として講演中の実技の手伝いを目的として参加させていただきました。
実際のレポートの前に少し、今回のテーマ「氣と意識―伝統鍼灸の本質に迫る―」について。
第50回を数える大きな節目の今大会は、会頭:石原克己日本伝統鍼灸学会会長の「氣・意識・いのち・今後の医療・鍼灸の在り方に覚醒を促し、次の創造につながる」という想いを胸に、なかなか学会では取り扱うことのできなかったテーマに挑まれました。
また、意識というテーマの中で、新風代表はあえて(無)意識をテーマに講義、実技を行いました。
さて、本題の講演についてです。
当然のことながら、会場は参加者の体温チェックやマスク着用、手指消毒など感染対策に留意し、大ホールで実技講演の1発目13:00~14:00の1時間、座学講義と実技披露が行われました。
今回の新風代表の座学の講義は簡単に申し上げますと、古代鍼®の特徴と古代鍼®を中心とした気(衛気)の関連性、症例、意識をテーマとしての紹介です。
冒頭では、古代鍼®が生まれた経緯や古典籍からの引用を踏まえての補瀉や形状の説明をなされたため、他流派の先生方からもご好評いただきました。
アイスブレイクでは、各々が自身の両手を使って、補瀉の体感をそれぞれ行い、とても一体感のある会場の雰囲気が感じ取れました^^
⇒補瀉の実験中。
他にも、舌診の写真を用いた症例や先生らしい柳生宗矩著『兵法家伝書』を引用した無意識活動への昇華など、講義の中で印象深い点は幾つもありましたが、個人的には、夢分流『鍼道秘訣集』の心持ちの大事、三つの清浄(すまし)を引き合いに出しつつ、無意識的活動の説明をされていたことが最も印象的でした。
無心・無意識で自在に扱えるよう心身ともに修練が重要とする結語に至っては、今学会のテーマを踏まえたうえで1つ飛び越えた目線を示すことができ、覚醒を促せたのではないかと思います。
座学終了後、実技がモデル患者1名と一緒に体表観察をしていただく鍼灸専門学校一年生の方と行われました。
デモ治療での患者さんは、疲労を主訴に風寒が入った、瘀血を挟む古代鍼では難しい症例でしたが、いつも通りの丁寧な体表観察を行い、鍼灸学生の方もわかりやすい穴処を一緒に診ていく形で進められ、左の膈兪へ古代鍼で処置を行うことに。
結果としては、瘀血は少し残るものの、映像から見てとれるほど、背部兪穴の変化があり、鍼灸学生の方も仕込みではないかと疑われるような顕著な変化に会場が湧きました(笑)
古代鍼を受けられた関西においても著名な会派の会長の先生もはっきりと動きが自覚して頂けたようで、北辰会の詳細な体表観察や実技を見て興味を持たれた先生も多くおられたのではないでしょうか。
その後は、平安ホールにて、坂井祐太先生が登壇された学術部セミナーがあり、中医学と日本鍼灸の対立関係についての一討論の中で、中医学をベースにし、欠点を空間診や正邪弁証など独自にさまざまなもので補っている北辰会の中医学へ対する明確なスタンスを理路整然と主張されていたことは当会の一会員として改めて伝統鍼灸学会での立ち位置など考えさせられるものでした!
翌日の学生セミナーでは、腹部で診断し、腹部に金製の員利鍼を小槌で叩いて治療するものを現代へ復刻し、そして「気」を意識した「刺さない打鍼」に藤本蓮風会長がアレンジされた打鍼術を竹下有先生が披露され、貴重な実技を観ることができた学生の方々が羨ましく思えました。
(学生の人数が多く、会場へは学生のみ入場可で観ることが叶いませんでした;;)
他プログラムとしては、個人的にシンポジウム「気・意識・臨床」において述べられていた各会派の教育の言語化など、北辰会において指導的立場になりつつある私の現在の立場からも勉強になることも多くありました。
当会でも新風代表によってさまざまなことが言語化されていますが、シンクロニシティといいますか、各会派においても同様に行われていることに時代の流れを感じることができました。
そして、50周年記念式典・懇親会では、藤本蓮風会長著の「経穴解説 増補改訂新装版」が日本伝統鍼灸学会創立五十周年記念賞 著作出版部門で会長特別賞として表彰されました。
最後の一言にて「臨床60年を経て、未だにドキドキワクワクする毎日を過ごしている。すべての鍼灸師に体験してほしい」というお言葉を述べられ、私を含めてたくさんの方が胸に響くものであったと思います。
⇒藤本漢祥院の待合室には、藤本蓮風会長がこれまで受賞してきた様々な賞状
藤本漢祥院Twitterより引用: https://t.co/2ShwvcSWyt」 / Twitter
伝統鍼灸学会への参加は今回でまだ数度ですが、外から見た北辰会や各流派が苦心していることなど毎回必ず得るものがあります。
来年の日本伝統鍼灸学会学術大会は広島大会です。今から楽しみにしております。
より多くの北辰会会員の皆様が日本伝統鍼灸学会の参加されることを願い、鍼灸業界がより活発になることを期待しながら、筆を置かせていただきたいと思います。
最後に改めて、藤本蓮風会長おめでとうございます!
そして、拙いサポートではありましたが、様々な事を学ばせていただきました。
藤本新風代表をはじめ、奥村裕一先生、竹下有先生、坂井祐太先生、本当にありがとうございました。
⇒授賞式前の記念写真