藤本新風代表 日本鍼灸師会全国大会で 大会テーマ「ヒトを診る-東洋医学の全体観-」の論者として登壇!

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目次

17 公益社団法人 日本鍼灸師会 全国大会 in 愛知

シンポジウム 「ヒトを診る」 12 月 4 日(日) 9:30 ~ 12:30 大ホール

 

座長:長谷川栄一  一般社団法人 愛知県鍼灸師会 会長

シンポジウム登壇者:

伴信太郎  中津川市地域総合医療センター センター長

愛知医科大学医学教育センター 特命教育教授

寺澤佳洋  長崎県南島原市 口之津病院 総合診療科

県立島原病院 勤務

馬場道敬  経絡治療学会 副会長 回生塾(日本経穴研究会)会長

馬場回生堂鍼灸療院 院長 公益社団法人 福岡県鍼灸マッサージ師会 顧問

藤本新風  一般社団法人 北辰会 代表理事

藤本玄珠堂 院長

 

最初に今大会の実行委員長、長谷川栄一愛知県鍼灸師会会長より、「ヒトを診る」をテーマに、総合診療医学の第一人者である伴信太郎先生、総合診療医であり鍼灸師でもある寺澤佳洋先生、経絡治療の第一人者である馬場道敬先生、中医学をベースとした北辰会を率いる藤本新風先生を迎え、東洋医学、西洋医学それぞれの立場で、また、ベテランと若手という異なる視点からご意見をいただけることは、非常に意義のあるシンポジウムになると思います。とご紹介があった通り、エキスパートらしい講演内容に学ぶことが多くありました。以下がその要点です。(※要約に際し、文言を若干変更してあります。ご了承ください。)

 

伴信太郎先生は、「総合診療医とは-その理念とアプローチの仕方-」と題し、総合診療医に必要な能力について、

1) 健康問題への包括的対応

*精神・心理、身体、社会的健康への配慮

*予防、診断、治療、リハビリテーションのバランスの取れた実践

*保健・福祉・介護・生活支援との連携

2) 病態診断の専門家

3) 病態不明の諸症候へのアプローチ

の3点を挙げ、

統合診療医であるためには、医者が本来備えているべき「基本的臨床能力」だけでは不十分で、さらに「統合医療的アプローチ」のトレーニングを積まなくてはならない。と締めくくられました。

その後の質疑応答では、温和ながらも非常にメリハリのある対応に感服しました。

 

寺澤佳洋先生は、「家庭医療学を駆使して“ヒトを診る”と どうなるか」と題し、

近年、日本専門医機構が19番目の新たな専門医資格として「総合診療専門医」を加えたこと、総合診療専門医 は“ひとと地域を診る・つなぐ”ことを専門にする医師とも称され、それは多くの鍼灸師にも当てはまること、総合診療医を育成する際の教育基盤の一つが家庭医療学であることを述べられ、総合診療医と鍼灸師の学びは親和性が高く、鍼灸師にとって家庭医療学を学ぶ価値は非常に高いと考えると締めくくられました。

アニメーションを駆使した非常にわかりやすいプレゼンテーションでした。

 

馬場道敬先生は、「経絡治療の実際」と題し、

経絡治療では 症状に捉われることなく患者の身体全体をひとつと考え、全身のバランスを診断し治療をするだけでなく、患者の個性・人柄・生活環境など心理的社会的因子を加えて、患者一人一人に異なる治療を行う。 まさに『ヒトを診る』ことが、病の根本の解決に向けての治療となると説明されました。また、診断についても

診断とは証を決定することである。その方法は、難経六十一難の望診、聞診、問診、切診の四診による。 最も重要視するのは、切診の中にある脈診(六部定位脈診)である。 左右の橈骨動脈拍動部を寸、関、尺の3部にわけ、さらに浮沈で陰経、陽経にわけて合計12経の虚実を診る。一番弱く感じるところを虚とし、一番強く感じるところを実として証を決定する。

つまりは、12経のバランスを整えることに尽きることとなる。それゆえ、鍼灸の治療目標は、患部ではなく、経絡上の経穴であり身体の歪を正すこと、と経絡治療を概説されました。

 

さていよいよ藤本新風代表が登壇。テーマは「鍼灸家が“ヒトを診る”ということ」です。

西洋医学が病気(disease)を診るのに対し、中国伝統医学は病人(sick person)を診ることに重点を置いてきた。そこでは、病人とは単に生物学的な「ヒト」ではなく、全人的という意味合いを含んだ「ヒト」である。これを踏まえた上で鍼灸臨床において「ヒトを診る」とは如何にあるべきか、幾つかの観点から述べることとする。として、1.因人制宜 2.四診合参 3.静止画(証)と動画(病因病理)などとともに、急性の頭痛・胃痛の症例を提示し、今回の大会テーマである「ヒトを診る-東洋医学の全体観-」を示しました。

最後に患者さんとの向き合いかたについて、鍼灸家が全人的に「ヒト」を診るために大事なのは、独自の思想・哲学を踏まえ、「気一元」のスタンスに立つこと。統合医療の実現が期待される現代において、鍼灸師はまず「伝統医学としての鍼灸」のスペシャリストであることが重要であり、さらには鍼灸師が「対人援助者」としていかにあるべきか、も考えていく必要があるだろう。と締めくくりました。

 

鍼灸師として日々患者さんに接している私たちですが、今回のシンポジウムは、統合医療とは何か、鍼灸師としては今後どう取り組むべきかを考える良いきっかけになりました。

 

また、代表の講演を聞き、鍼灸師の原点である「人」の整体を見ることを忘れず(北辰会会員なら大丈夫ですよね)、その上で、これからはさらにより大きな「ヒト」という観点で患者さんを診ていかねばと、決意を新たにしました。

 

第17回全国大会in愛知 (harikyu.or.jp)

☆ 全国大会in愛知 録画配信  (準備中)

「ヒトを診る」名大総合診療科 伊藤京子先生(公開講座 無料)

 

文責 奥村裕一

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