第41回日本東方医学会 学術大会レポート

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「医師・医学生と鍼灸」
2023年11月26日(日)東京御茶ノ水にあるソラシティカンファレンスセンターにて開催されました。

初めに第41回日本東方医学会学術大会の会頭を務めた、北辰会学術副部長竹下有先生が開会の辞を述べました。

今回、北辰会から登壇された先生方の発表は
・増田卓也医師「鍼灸院より精査目的で紹介され、関節超音波検査で診断しえた血清反応陰性関節リウマチの一例」
・丸山晃央医師「終末期ケアにおいて医師が施術する鍼灸治療の有効性」
・会頭講演:竹下有学術副部長「原点を見つめ直す−医師のための鍼灸セミナーから始まった東方医学会−」
・シンポジウム:藤本新風代表「一鍼二灸三薬〜鍼灸と湯液の関わり方〜」
・業者ブースでは株式会社いっしんが出展しており、坂井祐太正講師が「刺さない鍼体験コーナー」での対応

また、竹下有先生が講師を務める順天堂大学東洋医学研究会や、坂井祐太先生が講師を務める国際医療福祉大学東洋医学研究会の医学生さんからの一般発表やポスター発表もあり、当会としても盛り沢山な1日となりました。

目次

◯増田卓也先生「鍼灸院より精査目的で紹介され、関節超音波検査で診断しえた血清反応陰性関節リウマチの一例」

増田先生の講演内容は、医師と鍼灸師の連携によって患者さんの主訴の緩解に至った症例です。
鍼灸治療によって疼痛のNRS値が10から2に緩解するも、ある時、痛みが再発したため、精査目的で増田先生の勤める三井記念病院へ紹介された1症例です。

血液検査では関節リウマチの反応は陰性でしたが関節超音波検査を実施した際にリウマチ所見が確認できたことにより、関節リウマチの適切な治療を施した結果、疼痛の緩解に至った症例でした。

このような症例は臨床で遭遇することもあると思いますし、何かおかしいと思った時に信頼できる病院に精査をお願いし、医師と連携することはとても重要なことであると感じました。

また最近、増田先生は医師と鍼灸師の連携についての論文をJ-STAGEで掲載されていますので、是非↓のURLからチェックしてみて下さい。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhgmwabun/19/5/19_367/_article/-char/ja

◯丸山晃央先生「終末期ケアにおいて医師が施術する鍼灸治療の有効性」

丸山先生の講演内容は、自身の臨床経験から終末期ケアにおいて患者さんの訴える精神症状などの様々な症状を鍼灸治療によって、迅速且つ有効に治療介入ができた症例を発表されました。
終末期の医療で症状緩和の手段としても鍼灸治療が大いに効果を期待できるものであると感じました。

〈発表中の丸山晃央先生〉

◯会頭講演:竹下有学術副部長「原点を見つめ直す−医師のための鍼灸セミナーから始まった東方医学会−」

〈楽しく熱く講演されている竹下有学術副部長〉

本大会のメインイベントの1つである竹下有学術副部長の会頭講演では、初めに当会の会長、藤本蓮風先生の動画を流し、間中喜雄先生との関係などをお話してくださいました。

その後、日本東方医学会の前身である「医師のための鍼灸セミナー」の頃からの歴史を踏まえながら、日本東方医学会の創設者であられる間中喜雄医師の生き様や想いなどを膨大な資料や滅多にお目にかかれないような当時の写真を元に振り返り、簡潔にこれからの日本東方医学会がどうあるべきかを発表していました。

発表を終えた後は参加されていた医師や医学生、鍼灸師、また座長を務めていた長瀬眞彦医師からも賞賛の声が上がっていました。

◯シンポジウム:藤本新風代表「一鍼二灸三薬〜鍼灸と湯液の関わり方〜」

最後のシンポジウムでは、当会代表の藤本新風代表がスライドで、漢方を処方する医師が少なくない中で、漢方処方について、より根拠や効果判定に客観性や信頼性があった方がいいのではないかということを、実際に北辰会に所属している医師の先生が行っている漢方処方の取り組みなどを例にお話されていました。

その後、東洋医学のそもそも論を『黄帝内経』や『鍼灸大成』また「香川修庵」の書物をもとに、まず「一に鍼」だということを提唱されていました。

そして「全ての中医学研究者は鍼灸臓腑経絡学を基本とせよ!」ということも藤本蓮風会長の言葉を借りて仰っていました。


〈講演をされている新風先生の様子〉

それから医師の診察の際に原穴診や背候診を導入することで、処方した漢方エキス剤が服用直後でどの程度効果的かを判断ができることを提案し、実際の体表観察の原穴診と背候診の実演の動画を流し、その簡易性と信頼性を伝えていました。


〈原穴診の動画に会場が注目する様子〉

時間の関係で全部は流せませんでしたが、その後のスライドでは自身のlong Covidの症例をもとに鍼灸治療によって緩解していく様子を舌の写真を踏まえて説明されていました。
医師、医学生、鍼灸師の方に非常に刺さる内容の講演だったと感じました。

◯討論「医師と鍼灸―組むか、やるか、どう理解するか―」

最後は藤本新風代表、医はき師である寺澤佳洋医師、福島県立医科大学の会津医療センター附属研究所漢方医学研究室で教授をされている鈴木雅雄先生の3人の先生で討論を行いました。

医師による鍼灸の保険適用の同意について、また病院で鍼灸を行うには?などの法令に関する質疑で話が膨らんでいましたが、新風代表は我々がやっていることは鍼灸療法ではなく鍼灸医学であるということ、医師と鍼灸師、東洋医学と西洋医学で違う医学をやっている者同士、違いがあるとしても対等なお付き合いをすることが大事であるということを提唱されていました。


〈討論の様子〉

今回はリモートやオンデマンド配信がないので、どこか縛りのないような大会だったように感じました。そしてこの講演内容と同じものを聞けることは二度と無いと思います。こういった機会は逃さないようにしていきたいと思いました。

医師を中心とした学会である日本東方医学会の学術大会で、北辰会方式の素晴らしさを伝えられたことは、今後の当会の発展につながるような実りある大会であったと感じました。

 

また先日の東方医学会を、『鍼灸柔整新聞』さんが記事にして下さいました。
https://news-shinkyujusei.net/20231210-12/?fbclid=IwAR2TUWYYTubmpefMeC6mop1OSit8hvvbGQ_RunGJrjT8c6BYtDqUulgBiOU

よければご覧ください!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

多くの鍼灸師・医師が学ぶ、北辰会方式の最新情報

日々の臨床において、好ましい効果が得られなかったり、

治療の根拠が曖昧になって次の打ち手に迷ったりしていませんか?

北辰会では

・中医学の理論を体系的に習得

・日本や中国を中心とした古典の学習

・鍼灸と漢方薬の基礎と応用

・多数の難病・重症の治験例・カンファレンス

・少数鍼による無駄のない負担の少ない配穴

・日本古流派の考えを取り入れた手技

・現代で求められる衛生面・インシデント予防の知識

を学ぶことができます。

これにより、今まで手に負えなかった疾患や、西洋医学でも難しいとされる疾患を治すことができます。


一般社団法人 北辰会の最新情報はこちら

SNSでもご購読できます。