関東支部 年末代表講演レポート

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こんにちは!
12月10日(日)、東京・大森において関東支部年末代表講演が4年ぶりに開催されました!
今回のテーマは「鍼刺要旨~刺鍼の要諦~」です。
全国各地から多くの方が集まり、4年分もの気合いのこもった熱い1日となりました(^^)/

目次

日中の刺鍼技術史

午前は、尾崎真哉支部長による「日中の刺鍼技術史」です。

刺鍼技術とは何か、また日本と中国の鍼灸発展史などをとりあげて、なぜ北辰会の毫鍼術が撓入鍼法に至ったのかを解説して下さいました。

霊枢・九鍼十二原篇にある「言不可治者、未得其術也。(治せないのは学術が足りないからだ)」とあるように、歴代医家の創意工夫や論争が、色んな書物に書かれています。

それらの歴代の書物を読み、これまでの歴史を知ると、鍼に重みがでてくる、愛せるようになると、尾崎先生は仰っていたのが印象的です。

また、現在の北辰会の鍼術に至るまで、日本鍼灸古流派の研究や九鍼の研究、中国鍼法や
韓国鍼法など色んなことを試した経緯があったこと、そして捻鍼などによって毫鍼による気の去来を学び、気のやり取りを学ぶうちに、衛気の重要性に気付きを得ていることを強調されていました。

近現代の日本の鍼術

午後の初めは、竹下有学術副部長による「近現代の日本の鍼術」です。

なぜ北辰会は鍼管を使わないのか?なぜ北辰会は補瀉手技を使わないのか?などの疑問に的確な答えを提示しながら、鍼に対する認識を掘り下げて下さいました。

また、内経に記載のある九刺、十二刺、五刺なども取り上げて、これら様々なことを知った上で藤本蓮風会長の今があることを話して下さいました。

そして現代に存在する鍼術(毫鍼、接触鍼、三稜鍼、古代九鍼、皮内鍼、円皮鍼、灸頭鍼、梅花鍼、電気鍼、小児鍼など)がどうやって考案され広まってきたのかを一つ一つ解説して頂きました。

その中でも、現在行われている電気(パルス)鍼は元々局所治療を志向したものではなかったという話や赤外線治療器と灸頭鍼の違いの話などが印象的です。

現代日本にはたくさんの鍼術がありますが、竹下先生の講義を聞いていて個人的に強く感じたのは、原理を理解する重要性です。自分達の行っている鍼灸の原理をきちんと理解することが大事だと改めて思いました。

三大鍼法の要諦・実技デモ

最後は、藤本新風代表による「三大鍼法の要諦(毫鍼・打鍼・古代鍼)」です。

 

近年新風代表は補瀉について、定例会やeラーニング、さらに日本伝統鍼灸学会においても発表されていますが、『内経』を中心とした歴代の鍼灸専門書から、補瀉技法を原理的に理解し、共有して皆で臨床活用したい、という視点からだと話して下さいました。

 

そして、これまで「補瀉論」の講義で解説されていた各種補瀉法(迎随補瀉・徐疾補瀉・呼吸補瀉・開闔補瀉・営衛補瀉・捻転補瀉・提挿補瀉)と学会発表の内容(気至と得気)をおさらいして、北辰会で用いられる三大鍼法についてそれぞれ分かりやすく解説して下さいました。

 

その中の1つである毫鍼術について、少し具体的に挙げますと…

 

北辰会の毫鍼術は、撓入鍼法といって、鍼体の撓(しな)りを利用して切皮・刺入します。

刺鍼時に撓らせようと意識が向きがちですが、鍼の撓りは形の表現で、撓入鍼法の本質ではないということ、

また、撓入鍼法のうちの1つである舒張進鍼法(押手で皮膚を突っ張って刺入する)も突っ張るのが要点ではなく、衛気と鍼との関係を重視するため、無駄に突っ張ることはしないということを新風代表は仰っていました。

 

教わったことや学んだことも、なぜそうするのかという原理を理解することが大事ですね。

 

続いて新風代表は3名の実技デモを見せて下さいました。


↑新風先生の鍼による体表の変化を、希望者2名の方も一緒にみています

少し実技デモの内容を書きますと…

1人目 男性
主訴は左肩痛。
問診・体表観察を行い、小腸経の経気不利で裏に脾の弱りがあると診たてて、左不容に5番鍼で15分置鍼されました。
抜鍼直後に肩の可動域が増えたことを実感されていました。

2人目 男性
主訴は手足の冷え(足>手)、呑気症。
肝脾鬱結と診たてて筋縮に古代鍼かざし。
筋縮を選んだのは、中焦に位置するため肝にアプローチしつつ脾を意識していると説明して下さいました。


↑筋縮に古代鍼かざし

3人目 女性
主訴は後頚・側頚部痛。
1~2週間前に寝違えてから毎朝痛むとのこと。
主訴は左後ろにありますが、右前の滑肉門でねじれをとるようにされました。
処置は、右滑肉門に打鍼・相曳の鍼。

関東支部の会員の中にも、新風代表の実技を実際に見るのは久しぶりという方も多かったのではないでしょうか。冷静で素早い判断ののちに、圧巻の鍼灸術を見せて下さいました。

そして、いずれも生体がどうありたいのか?という生体の生の声を聴きとり、最も負担なく、最適な鍼法・鍼術を選択することが重要だと、新風代表は仰っていました。
加えて「心持ちの大事」も忘れずに、と。

近年北辰会では、先輩たちの尽力により初学者も分かりやすく学べる環境ができていますが、その原理もきちんと理解しようとすることは大事なことだと改めて感じました。

講義が終わった後は、懇親会・忘年会へ☆
本部・支部の北辰会会員のみならず、流派の壁を越えて、医師も鍼灸師も参加され、とても盛り上がっていました!

これをもちまして、2023年支部定例会&イベントは無事終了です☆

今年も一年お疲れ様でした!
皆さま良いお年をお迎えくださいませ(*’▽’)

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日時:2024年2/11(日)~12(祝)
会場:熱海・伊藤園リゾートホテル大野屋

北辰会が主催する企画の中でも最大規模の宿泊型研修会が、いよいよ復活します(*’▽’)
本部・支部の先生方が泊りがけで研鑽をつみ、諸先輩方と杯を交わしながら色んな話が聞ける楽しい企画です!
蓮風会長の講演や新風代表の公開臨床、古代鍼実技など、魅力満載のカリキュラムとなっております。大幅にレベルアップを図るチャンス!
非会員の方も、2日目のみ参加希望の方も、ご参加頂けます。

宿泊希望の方は申込締切が12月末までです。
ぜひ奮ってご参加ください!

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