2023年12月16日(土)~17日(日)に、静岡県駿河区東静岡にある静岡県コンベンションアーツセンター「グランシップ」にて、第27回、日本統合医療学会学術大会が開催され、弊会学術副部長である竹下有先生が登壇されました。
↑↑会場からクッキリと見えた富士山。
今回、竹下先生が登壇されたのは、ワークショップ③ 9:40~11:40第4会場「医師向けの鍼治療講座」であり、座長は弊会の藤本蓮風会長とも古くから御親交のある関隆志先生(フジ虎の門整形外科病院 東洋医学総合診療科 高嶺の森の診療所)です。
演題は「北辰会方式の鍼灸治療の実際と、医師一鍼灸師の連携について」です。
まず、竹下先生は、今回はワークショップ(参加者が主体となって体験や学習をする場)ということで、ティッシュ4枚と輪ゴム1個、鍼を5本、あらかじめ配布し、
1.鍼枕の作成の仕方
2.管鍼法の刺し方
の説明をし、受講された先生方に実際にやってもらい、気を楽にして、管鍼法の練習をしながら、講義を聞いて頂けたらということで、「医師向けの鍼治療講座」が始まりました。
講義前半では、日本鍼灸近代史の概説として、
1.明治期の鍼灸
2.大正~昭和初期の鍼灸
3.昭和中期~後期の鍼灸
4.平成~令和の鍼灸
5.現代日本の鍼灸師の現状
に分けて、分かり易くまとめて頂き、さらに北辰会について、
1.(一社)北辰会簡史
2.(一社)北辰会の活動内容
3.(一社)北辰会の理念
4.北辰会方式の特長、診察方法
を、こちらも分かり易く説明して頂き、“1人の名人ではなく、限りなく名人に近い人材を輩出することが北辰会の使命である”と伝えました。
そして、今回は参加型のワークショップということで、会場の先生に、
1.鍼灸師との連携について
2.鍼灸医学について
3.医師による鍼灸の実践について
上記をどう考えているか、竹下先生から聞いてみたところ、
“ヒト全体を診れるようになりたい”
“自分でも鍼灸治療を行っていきたいと考えている”
“連携しやすい環境が整うといいと思います”
などの建設的な意見が挙がっていました。
後半の実技では、モデル患者さんと、実際に鍼治療をやってみたい医師の先生を、フロアから募りました。
今回の実技の流れは、竹下先生がモデル患者さんに問診と体表観察を行ない、鍼治療をやってみたい先生に、比較的分かりやすい反応点(経穴)を触ってもらい、指示した経穴に、管鍼法で実際に刺鍼をしてもらう、という、ワークショップならではの工夫された内容になりました。
モデル患者さんは若い女医さんであり、主訴は眩暈と生理痛。今年の春先から眩暈が出たという情報や、月経前から前半に痛みが強いという情報から、東洋医学の“肝”との関係性が疑われることを説明し、次に体表観察。各診察法の特長の説明、また今回のモデル患者さんの特徴的な所見を丁寧に分かり易く説明しました。
その中で今回は、太衝の左右差(左に圧痛)が顕著にあり、治療穴は百会になりました。鍼治療をやってみたいと希望した、フロアの医師の方は、太衝の左右差を確認し、左側に圧痛があることも確認し、百会に管鍼法で刺鍼を行ないました。その直後、太衝の左右差はほぼなくなり、左側の圧痛もなくなりました。
鍼治療をした先生自身が一番驚いていましたし、モデル患者さんも、鍼治療前後での変化に驚いていました。終わってみると、2時間はあっという間であり、時間も押しているにも関わらず、盛んに質問も出るほど、白熱した講義でした。また、若い医師の先生が参加されているのが目立ちました。
(竹下注:後日談ですが、モデル役の女医さんから、本大会の二日後に生理が来潮し、今回久しぶりに生理痛がなく、痛み止めを飲まずに診療を終えることが出来ました、大変有難う御座いました。と、御礼と感動のメールを頂きました。)
一方、業者ブースでは、北辰会公認の「撓入鍼」を製造して下さっている、株式会社いっしんが出展しており、出展ブースでは坂井祐太正講師が「刺さない鍼体験コーナー」で対応されていました。こちらにも、十数名の先生が刺さない鍼を受けに来ていらしていたようです。
↑↑丁寧に治療にあたる坂井先生の後ろ姿
今回のワークショップでは、若い医師の先生が多く参加されていました。若い先生が積極的に東洋医学や鍼灸治療を行い、ベテランの先生も、東洋医学を積極的に採り入れるようになれば、東洋医学、鍼灸治療の未来が明るいと思いました。
↑↑帰りがけに、会場外の看板前での1枚。