「臨床における経絡経穴と実践」藤本新風代表特別講演
2023年(令和5年)1月29日(日)、広島県福山市のまなびの館ローズコムにおいて、一般社団法人広島県鍼灸師会主催による「はり供養祭り特別講演会」が開催、新風代表が招かれ講演しました。タイトルは「臨床における経絡経穴と実践」。福山市の鍼灸臨床の先生方が熱心に聴講されました。
“はり供養祭り”ということで、日頃から使用している鍼と、先人の鍼灸師各位に敬意を表して最初に“黙祷”を行った後、講演がスタート。
会場は感染対策に留意し、午前は座学、午後は実技を中心に行われました。
講演では、北辰会方式のカルテの説明、鍼の紹介、初診から再診への治療の流れ、四診合参、一本鍼の重要性を、
丁寧に分かりやすく説明。北辰会方式の初診・問診の時間と弁証論治の緻密さに、参加者の先生方も驚いておられました。
北辰会で使用している予診票は、昨年から現状にあわせて質問項目を増やし、スマホの使用状況や休日の過ごし方など、
ライフスタイルが分かるような内容になっています。これに対し、「なるほどこれならリアリティのある問診になる」と、参加者も納得のようすでした。
続いて、最近の症例「眼瞼痙攣(目が開けられない)」をチャート図を用いて解説。
「臓象学説、臓腑経絡学説、経穴学説をよく理解しておくことは鍼灸臨床において基本であり、かつ重要である。実際の臨床では問診を含めた四診合参による病態把握(病因病理、弁証)は必須である。“中医学は使いこなしてなんぼである!”」
と熱く語る新風代表の姿が印象的でした。
午後の実技では受講者からモデルを募り初診時の体表観察を行いました。
最初に、北辰会の体表観察の基礎となるフェザータッチ(手掌を体表に馴染むよう柔らかく密着させ患者と気を通じ合わせて行われる診察法)を中心に“衛気”を乱さない触り方についてのレクチャー。続いて、北辰会の刺鍼法である鍼管を使わない“撓入鍼法”(とうにゅうしんぽう)の実技が行われ、刺入の仕方や角度、押手の作り方や使用頻度の高い鍼の番数など、多くの質問が参加者から寄せられました。
その後はペアを組み背候診・原穴診の実技です。
実技のようす
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新風代表の指導を受け、ツボの深さ・大きさ・左右差などを丁寧に診ていくことで、参加者も、新たな気づきを感じておられました。
今回の実技には、福山市で開業されている当会の元准講師・小寺映子先生も参加。臨床の上でのより具体的な質問も出され、あっという間に2時間が経過。
最後に、広島県鍼灸師会副会長である杉原朝香先生が「やはり鍼灸師は臨床が一番である。その為には鍼灸師の資質向上と日々の研磨が重要である。」と締めくくられました。
この日の新風代表の特別公演を通して、私自身、改めて北辰会方式の素晴らしさを感じたと同時に、丁寧な問診・四診合参・弁証論治・体表観察があってこその“一本鍼”であること、
日々の研磨・学びなくして“一本鍼”はない、ということを再確認しました。
“一本鍼”の持つ意味の重さを感じとっただけでなく、鍼灸師としての責任を自覚することができた1日でした。
最後になりましたが、開催にあたり広島県鍼灸師会の山下桂史会長、渡邉正宏学術部長をはじめ役員のみなさまにご尽力いただきました。
ここに改めて感謝の意を表したいと思います。
なお、今回の講演に参加する前に、会場近くにある小寺映子先生の治療院「女性とこどもの鍼灸院 SEISHIN」(HP:https://seishin-shinkyu.com/)を見学させていただきました。
キッズルームも完備し、その名の通り、女性と子供さんが安心して訪れることができる、素敵な治療院でした。小寺映子先生、ありがとうございました!
(文責:下城 敦)