2023年1月15日(日)、東京都墨田区両国にある杉山江島神社杉山和一記念館・多目的ホール1Fにおいて掲題の講演が開催されました。
昨年末頃より新型コロナウィルスの感染者が増加する中にも関わらず、15名の学生や鍼灸師が参加され、私は、北辰会関東支部長の尾崎真哉正講師の助手として、参加させて頂きました。
今回の学術講習会では、尾崎真哉正講師が、「北辰会方式の概論と体表観察」という題目での講義と、北辰会方式での治療のデモンストレーションを行うという流れでした。
講義は北辰会の歴史や、北辰会方式の特徴、体表観察の各種診察方法とその意義、北辰会における各種鍼術などの紹介や説明を中心に行われました。
その中でも四診合参し、病因病理を構築し弁証論治を行った上で治療することの重要性を、特に強調しておりました。
更には、杉山流から 北辰会への影響や江戸鍼灸諸流派の少数鍼、明代から伝わった「広挟神俱集」や「医学入門」の少数鍼の内容の紹介、またその『医学入門』の杉山流や杉山真伝流への影響、杉山流でも弁証論治し、少数鍼で治療を行っていた例が紹介され、参加者も歴史的経緯を知るで、より少数鍼に興味を抱いている様子でした。
http://www.sugiyamawaichi-hari9.jp/ 杉山鍼按治療所HPより転載
座学の後は、休憩を挟み、治療のデモンストレーションが行われました。
治療のデモンストレーションでは、参加者の中から、患者役を3名選び、両手の弾発指や腰痛、腹部膨満感の症状に対して毫鍼、古代鍼、打鍼をそれぞれ使用し、尾崎先生が治療を行いました。
簡単な問診を行った上で、体表観察、病態説明を行い、その後デモ治療へと移行していきました。
北辰会方式における少数鍼の治療や、古代鍼、打鍼の治療を初めて体験したり、実際に見た参加者皆さんが、直後効果が出ていることに対して、驚きの声を上げておりました。
症状変化に伴う体表観察の変化も参加者が触れさせ経験することにより十分納得していた様子も印象的でした。
尾崎先生の熱い講義により質問がたくさん出たことや、触診の実技体験よりデモ治療を優先して多く見たいと言う参加者や主催側の意向により、参加者の体表観察の実技体験は行えませんでしたが、参加者皆さんの積極的な姿勢に、刺激をもらえた1日でした。
最後に、私が今回の講義で一番印象に残っており、昨年の藤本新風代表の講演でも紹介された、北辰会で重要視している治療哲学の一文で締めくくりたいと思います。
「治ったのであれば、なぜ治ったのか?」の理由を理解する。
「治らないのであれば、なぜ治らないのか?」の事由を探求する。
「治らないのであれば、如何にすればよいのか?」に思いを馳せ、
「治せるよう」創意工夫する。
(2022年1月16日 杉山検校遺徳顕彰会「北辰会の鍼術」藤本新風代表講演資料より抜粋)