第4回 順天堂大学東洋医学研究会特別シンポジウム レポート

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今回2月12日(日)に行われました、第4回順天堂大学東洋医学研究会特別公開シンポジウム「睡眠の生理と改善策~ 西洋医学と東洋医学の知見から ~」に参加しました!

オンライン配信を含め180名を超える大盛況の今回のシンポジウム。

実に盛りだくさんの内容でした!

 

座長は谷川 武先生 【順天堂大学医学部 衛生学・公衆衛生講座 主任教授】

パネリストとして、

高橋 正也先生 【独立行政法人労働瀉健康安全蚑行 労働安全衛生総合研究所 過労死等予防調査研究センター センター長】

長瀬 眞彦先生 【日本東方医学会理事長 吉祥寺中医クリニック 院長】

竹下 有先生  【(一社)北辰会 学術副部長 清明院 院長】

このようなメンバーで行われました。

目次

西洋医学の立場から睡眠について

まず3名のパネリストの先生方から30分程度の講義からスタートしました。

初めに高橋先生からは西洋医学の立場から睡眠についてのお話でした。

睡眠の研究は医学的に始まって60~70年のまだ赤ちゃんの医学であり、最近とても調査が進み原則がわかってきたそうです。

睡眠のポイントは体内時計による”目覚めていようとする力”と覚醒時間による”眠り力”この2つのバランスによって睡眠のリズムが形成されるそうです。

次に睡眠の都市伝説を5つあげていました。

その中で1つ「深く眠れば短くてもよい」そのことについて睡眠時間と死亡率のデータを使い説明して頂きました。

 

最後に良い睡眠をとるためにと題し、以下の5つをあげていました。

0.眠りに重視して生活する

1.同じ時間に起床する(休日に遅寝、遅起は要注意)

2.プチ仮眠を活用する(15分~20分程度)

3.オンとオフを切り替える(リラックスする時間を作る)

4.睡眠の病気を治療する

私が面白いと思ったのは、最初の項目を「0」とし、大前提として睡眠を大切にして生活することが良い睡眠への1歩だと思いました。

2番目に長瀬先生から気血水の立場から睡眠の説明がありました。

発表の冒頭に睡眠の改善の一つの方法に睡眠薬があるが、副作用があるため頼らない対処法として東洋医学のアプローチもあるというお話から始まりました。

西洋医学的に考える気血水について

次に気血水についての説明がありました。

気:生命エネルギー APT(アデノシン三リン酸)のようなイメージ

  気分的な意味も含む

血:西洋医学的な意味での血液とその東洋医学的な作用(栄養的な意味、皮膚を潤す作用、腱を柔軟にする作用、精神安定作用、意識の保持、月経の安定作用)

水(津液):血液以外の正常な体液の総称

オンラインで視聴している中には一般の方もおられることに配慮し、気血水の説明を端的にされていました!

東洋医学な視点から見る不眠

次に東洋医学な視点から、寝れないパターンには大きく二つあるとして

・興奮して気が昂って寝れない

・心配や不安があって寝れない

このような場合にあった生薬、漢方薬を紹介して下さいました。

また、加味帰脾湯の併用による減薬効果の検討についてご説明してくださいました。

20の症例に加味帰脾湯を処方。離脱40% 減量30%となり70%に有効であったそうです。

 

最後に竹下先生からは陰陽論、経絡の立場から睡眠について説明がありました。

陽である昼間の時間には仕事や運動、二便などの活動をする。その陽の時間を支えているのが陰である夜の生活であり、睡眠という話をしていました。なので、睡眠の状態は昼間の全ての状態と関わる重要な活動であり情報であるというお話がありました。

他に衛気の循行と睡眠についてや遊魂現象のお話もされていました。

総合討論

最後は総合討論。

配信からの質問と座長である谷川教授からの質問、パネリスト同士の質問もあり重厚な総合討論でした。

総合討論の中で私が印象的だったお話は、高橋先生がお話された睡眠障害に対する不適切な処方についてです。糖尿病や高血圧の方の訴え(血糖値が高いから、血圧が高いから)を鵜呑みにして薬を処方することはないが、睡眠障害においては『眠れない』という訴えのみで処方してしまうことが多い。なぜ眠れないのか?という所まで考えなければならないのではないか?という事でした。

西洋東洋を問わず、その人への理解、病の見立てということの重要性を再確認できた素晴らしいシンポジウムでした。

来年も開催されたらぜひ参加したいと思います。

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