第73回 全日本鍼灸学会に参加して

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2024.5.25(土)~26(日)に、宮城県の仙台国際センターにて行われた、第73回、(公社)全日本鍼灸学会学術大会 宮城大会に参加したので、ここに報告します。

 

今回の大会テーマは、「つながり、通じ、いかす鍼灸 ―多様性の探求と連携医療への展開―」ということで、当会からは、会員である三井記念病院の総合内科、リウマチ膠原病内科の増田卓也医師が、2つの演題で登壇しました。

 

1つ目の講演は26日(日)の9:00-10:20に行われた、パネルディスカッション2「医師・鍼灸師連携について 今後の医療を見据えて」という内容。

 

本講演の座長は、2023.11.26に行われ、当会の竹下が会頭を拝命した第41回、日本東方医学会学術大会でも教育講演を賜った小野直哉鍼灸師((公財)未来工学研究所)であり、増田先生以外の演者は加島雅之医師(熊本赤十字病院 総合内科総合内科 部長)、中村元昭医師(昭和大学 発達障害医療研究所 准教授 副所長)、指定発言者に山口智鍼灸師(埼玉医科大学医学部東洋医学科 客員教授)を迎え、行われました。

 

医師と鍼灸師の連携(病院と鍼灸院、診療所と鍼灸院、あるいは病院、診療所内での、勤務医と勤務鍼灸師の連携)に関しては、以前から学会などで良く語られるテーマではありますが、業界全体としては、なかなか進んでいない、というのが現状ではないでしょうか。

 

総合病院の医師として、自身でも鍼灸を実践しつつ、近隣の多くの鍼灸院との連携も実践する増田医師、また、自身の勤務する総合病院内で、入院患者を対象として勤務鍼灸師との連携を実践する加島医師、同じく、研究も兼ねて、精神疾患の外来患者を中心に、勤務鍼灸師との連携を実践する中村医師の立場から、様々な発言がなされました。


↑↑増田先生の発表スライド。今回は癌患者への鍼灸治療を主な題材に、国立がんセンターや、都内の2つの鍼灸専門学校内の臨床施設との連携を紹介しました。

 


↑↑朝一にも拘らず、会場はほぼ満員。

 


↑↑会場では、このようなポスターも配布されまして、現在は様々な団体の活動の中で、医師と鍼灸師の連携の在り方が模索されたり、相互理解の推進が進められております。(因みに一番上の日本東方医学会主催、DAPAカンファレンスでは、当会の竹下が代表を務めています。)

 

2つ目の講演は、26日(日)の14:00-14:50にメインホールにて行われた教育講演7「総合診療および膠原病領域に対する鍼灸治療の可能性」という内容。

 

座長は近年、NHKの番組などにも度々出演し、非常に有名な鍼灸師である粕谷大智鍼灸師(新潟医療福祉大学リハビリテーション学部鍼灸健康学科 学科長 教授)です。

 


↑↑初めての大会場での講演でしたが、堂々の増田先生。笑

 


↑↑講演の冒頭では、蓮風会長からの挨拶動画も上映。この中で、「鍼を持つということは、古来より培われてきた総合診療医の技と叡智を継承することと同義だと言えないでしょうか。」という、重要な提言を頂きました。

 

増田先生は普段、総合病院内の総合内科、リウマチ膠原病内科にて診療を行っておられます。リウマチや膠原病といえば、近年はバイオ製剤などの薬物療法の発展が目覚ましいことでよく知られていますが、それでもなお、標準治療以外の自費治療を求める層が存在し、30%を超えているという研究もあるそうです。その自費治療の中には当然、鍼灸や漢方といった東洋医学的なアプローチも大部分含まれています。

 

増田先生は、様々な膠原病を中心に、あらゆる難治性の疾患の診療を実践する中で、それらに対する鍼灸治療の有効性と、東洋医学の完成された理論体系に感動され、自身で実際に扱った症例を動画も交えながら示して、鍼灸の有効性、有用性をアピールされ、会場からも感嘆の拍手が起こっていました。

 

増田医師が鍼灸と出会い、東洋医学と出会ったきっかけは、今このブログを書いている竹下が講師を拝命している、順天堂大学医学部、東洋医学研究会の2019年の12月に行われた特別公開シンポジウムに、彼が外部聴講で参加したことであり、その後、彼自身が日々研鑽を積んで、多くの患者を救い、4年半後には全日本鍼灸学会で教育講演をやるまでになるとは、一番前で聴いていて、非常に感慨深いものがありました。

 

現在、北辰会に入会する医師が増えています。

 

鍼灸が、世界的にも、医療業界内でのプレゼンスを徐々に増している中、今後も増え続けるだろうと思います。増田先生のように、自分で鍼灸を実践する医師、鍼灸医学をしっかりと理解した上で、鍼灸師と連携する道を模索する医師など、入会する医師によって、スタンスや目的は様々ですが、北辰会に入会してくる医師は、以前からそうなのですが、医師の中でも非常に優秀な人物が多いので、彼らにしっかりと鍼灸医学、東洋医学を理解して頂き、周囲の医師にもポジティブな影響を与え、患者さんのために、我々と手を携えることの出来る医師が増えるためのハブに、我々北辰会がなれれば、素晴らしいことだと思います。

 

今回の学会も非常に盛況であり、いよいよ、コロナが明けたんだなあ、という印象を持ちました。あの震災からの、東北の復興はまだまだですが、活気のある仙台を感じられたことも、非常に嬉しかったです。今回の増田先生の発表をきっかけに、医師との適切な連携の在り方を真剣に考える鍼灸師が増えることを願っています。

 

本大会では他にも、様々な注目度の高い講演が行われており、7.22(月)まで、オンデマンド登録の申し込みが可能ですので、必ず申し込んで、上記講演以外にも、しっかりと学んで下さい。

 

文責 竹下有

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