第15回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 オンデマンド配信を視聴して

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2024年6月7日(金)~9日(日)に、アクトシティ浜松にて行われた、第15回日本プライマリ・ケア連合学会(※以下、PC学会)学術大会のオンデマンド配信を視聴しましたので、ここに報告します。

今回、我々(一社)北辰会からは私、竹下有と、家庭医である丸山晃央医師、順天堂大学大学院の公衆衛生学講座の学生で、鍼灸師でもある謝敷裕美さんと、北辰会の会員ではありませんが、順天堂大学東洋医学研究会で竹下とともに講師をしている、順天堂大学公衆衛生学講座の助教で、鍼灸師でもある、友岡清秀先生と、オンデマンドシンポジウム「医鍼連携を通じた医療における SDGs 改善への可能性」という内容で発表させて頂きました。

当シンポジウムは、オンデマンド配信のみで視聴出来るプログラムでしたので、残念ながら今回は現地参加はしませんでしたが、後日、オンデマンド配信にて、個人的に気になったプログラムのみ、視聴させて頂きました。

因みに、オンデマンド配信は9.30(月)まで視聴可能ですので、今からでもぜひお申込みの上、ご視聴下さい!

→オンデマンド配信申込はこちら

 

また今回は他にも、北辰会の準会員である松浦悠人先生からは一般口演発表「鍼灸院に来院するメンタルヘルス患者の実態調査:精神科/心療内科受診群と非受診群の比較による横断研究」、会員で小児科医である児玉和彦先生は教育講演「プライマリケア小児研修の秘訣~そうだ、あの先生にきいてみよう~」という演題で登壇されていました。

プログラムを見ると、演題名のみの目次一覧で、会場発表とオンデマンド発表合わせて、約100ページ(全部で数百?)もあり、とてもすべての演題をチェックするのは不可能なのですが、鍼灸関係の演題は、シンポジウムや口演発表など、全部で7つほどあったようで、全体から見ると微々たる演題数ではありますが、それでも様々な先生方の御尽力によって、じわじわと注目度が広まってきてはいるのかな、という気はしました。

我々、市井の鍼灸師も、少しずつでも、今後もこういうところに顔を出し続け、少しでも認知度を高め、医師の中に理解者を増やし、組める先生とは積極的に組んで、より良い医療実践として、患者さんに還元すべきでしょう。

 

大会全体に関しては、まず開会式で、今大会の会頭である浜松医科大学、地域家庭医療学講座特任教授である井上真智子先生より、6000名を超える参加登録があったこと、そのうちの3分の2が現地参加していることを伺い、鍼灸関係の学会との圧倒的な規模の違いを感じ、会頭講演では、井上先生の今回の大会テーマである「誰一人取り残さない持続可能なプライマリ・ヘルス・ケアに向けて」にかけた思いが語られ、PC学会の活気、世界との関わりから、ここでも、規模感の大きさを感じました。

 

さらに、理事長講演では、日本プライマリ・ケア連合学会理事長の草場鉄周先生から、PC学会の展望が語られました。PC学会は、1985年から世界家庭医機構(WONCA)に加盟し会員団体となり、世界7つの地域のうちアジア太平洋地域(APR)に属して活動しているそうで、様々な分野で“持続可能性”が叫ばれる中、世界的にも、「プライマリケア」にかかっている期待は大きく、PC学会はますます活気を帯びているようです。

印象的だったのは、特別企画「三学会理事長鼎談」で、PC学会は、その関連学会として日本病院総合診療医学会(※以下、総診学会)、日本地域医療学会があり、2018年にスタートした総合診療専門医制度は、導入後5年が経った現在、専攻医数は少しずつ増加してはいるものの、まだまだ十分とは言えないのが現状であるそうで、この3学会で協調して、年々ブラッシュアップを図っているのが現状なのだそうです。

 

鍼灸関連で最も目立っていたのは学会ジョイントプログラムの中の日本東洋医学会とのコラボ企画である「東洋医学(漢方・鍼灸)の疑問点にお答えします ! 第 2 弾」であり、医師であり鍼灸師でもある寺澤佳洋先生と、鍼灸師でありながら史上初の医学部の教授になられた鈴木雅雄先生より、鍼灸の現状や鍼灸師と医師との連携のパターン、鍼灸のメカニズムなどが語られ、今後ますます「医鍼連携」がテーマとして盛り上がっていくことを感じました。

個人的には、PC学会と総診学会には近年何度か発表させて頂き、少し関わらせて頂いていますし、北辰会としても、PC学会とは数年前から関わらせて頂いておりますが、東洋医学、鍼灸医学と、これらの学会の重要視しているところ、患者さんに対する姿勢は、大枠としては近いように感じており、今後も連携強調できるところは積極的にして、我々の考え方を西洋医学の業界にアピールしていきたいと思いました。

 

閉会式では、今回の6000名を超える参加者のうち、研修医、医学生の割合が非常に多かったことが語られ、私も順天堂東医研を通じて、2018年の終わりから、医学生の皆さんと多く関わらせて頂いており、いつも感じることなのですが、医学生の意識の高さ、医師の研修制度の充実、若手医師の意識の高さを、非常に羨ましくも、悔しくも感じましたし、本大会でも、開催地である静岡県や、(公社)日本医師会をはじめとした、実に数十に渡る後援団体の数からも、基本的な規模の違い、業界としての足腰の強さの違いを感じました。

今後も、こういった巨大で強大な学会との関わりの中で、自分たちの医学、医療に矜持を持って、どういった言葉でアピールし、理解を得ていくべきか、大いに考えさせられました。

文責 竹下有

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