2018年2月に、熱海にて開催された北辰会の冬季研修会に参加させていただき、及ばずながら指導もさせて頂く機会に恵まれましたので、拙い文筆ではありますが、感想を述べさせて頂きます。
目次
刺鍼実技クラス
私が参加したのは、初日の午後からでした。准講師を対象とした「刺鍼実技クラス」からです。内心、これを受講したいがため研修会に参加したというのもあります。俄然、気分も高揚します。
同じく刺鍼実技クラスを受講される先生方と、御指導頂く藤本新風代表をはじめ、油谷真空先生、山本克仁先生、原元氣先生、関東支部の竹下有先生と尾崎真哉支部長もお越しになり、いよいよ講義スタートです。
3〜4名の班に分かれて、各々が普段から苦手に感じている刺鍼法を出し合い、実際に同じ班の先生を交代でモデルにしながら、実際に刺鍼してみます。
北辰会方式の特徴でもある撓入鍼法ですが、当たり前ですが難しい。
その撓入鍼法の、ツボに触れる、鍼を持つ、近づける、切皮する、刺入する、抜鍼する、という一連のプロセスで、どこが自分のやり方では引っかかってしまっているのか。
それを実際に自分が刺鍼してみて、細かに指摘して頂く機会というは、なかなか無いと思います。
私はといえば、自身の修練不足を露呈する下手さで、顔から火が出る思いでしたが、それでも一連の刺鍼の流れの中で、自分の中でイメージをいまひとつ明確にできていなかった部分を埋める事ができました。
これだけでも飛行機と新幹線を乗り継いで熱海まで来た甲斐があったなぁ、としみじみ思います。
ひとつ学んだ大事なことは、基礎練習は欠かしてはいけない、という何ともありきたりなことですが、刺鍼までのイメージを掴んだ上で、改めて繰り返す基礎練習は、おそらくは一味違ったものになるはずです。私もそうなっていると願いたい・・・。
打鍼実技
初日の午後後半は、打鍼実技の指導に回らせて頂きました。
さすが泊まり込みで学びに来たという先生方だけあって、初級班といえども皆さん真剣そのものです。
私なりの打鍼ってこういうものですよ、ということをお伝えしようかと思っていたのですが、無我夢中で指導するうち、気が付けばあっという間に終了時刻。
もっとも基本的で、かつ極めて重要な火曳の鍼を中心に指導をしていましたが、イメージを掴んでもらおうと思って、とっさにやった火曳きの鍼をする「ふり」で何かを掴んで頂けたらしい先生がいたのは、印象的でした。
打鍼術を学ぼうとすると、鍼を持つ手、鍼をするお腹ばかり気になってしまうものですが(もちろん、それを見て学ばないことには始まりませんが)、術者自身の姿勢や構えと申しますか、施術している術者全体の雰囲気というものがどんな感じなのか、ということも幾ばくか伝わったのであれば、望外の喜びです。
順雪宴
さて、午後の講義も終わり、お待ちかね(?)の宴の時間。
余興のお時間は、諸先生の意外な側面を見せて頂けます。今回は何とも優雅な琴の演奏から、宴と言えばやっぱりこれだよ、な芸まで。色々な先生がいらっしゃるという北辰会の懐の深さを感じる宴会です。
もう一つ、宴会の楽しみはお酒が入ると、不思議と講師の先生方との距離が近くなりやすい、ということ。西洋医学全盛の現代社会で、鍼を一本しか刺さない、という北辰会方式で勝負するのは、時に孤独な戦いでもありますが、同じ鍼一本で、日々臨床現場で格闘している先生方と胸襟を開いて話していると「北辰会方式は間違いなく素晴らしい医学だ、私もこの医学で生きていくんだ!」という勇気をもらえます。
ついでに日々の臨床で、ぶつかっている課題などの相談に乗って頂けたりするのも魅力です。北辰会の定例会が終わった後なんかも、先生方はよく呑みに行かれますが、北辰会に入ったばかりという方は、ぜひこれに参加してみてください。何から質問したら良いかわからない、という方でも、傍らで話を聞くだけでも本当に勉強になります。
話が逸れましたが、今回も私は先輩の先生方の席に回り、色々御指南を頂いて来ました。
個人的な話になりますが、私は撓入鍼法の中でも雙手進鍼法による寸6の鍼を使った横刺のイメージがもう一つ、つかめていなかったところがあったので、酒の席で箸を使って「こうだよ」と教えて頂きました。こういう経験は本当に貴重です。
宴の後は、自習の時間。准講師を指導役に、少人数に分かれての体表観察の練習です。私も指導に回らせて頂きました。
昼から皆さん、ずっと鍼の事ばかり考えているので、夜の練習はどこかハイテンションなのか、皆さんの感覚や思考が鋭敏になっているような、そんな印象でした。
勉強は楽しくやれている時ほど身に付きやすいといいます。最初の講義で感じた疑問を次の講義や宴ですかさず聞けるというのも合宿型研修会の強味だと思います。
代表講演
2日目の朝は代表講演から始まりました。「患者さんの導き方」という、臨床家にとっては悩ましい問題を鋭い切り口で説いてくださいます。北辰会の学術は、代表をはじめとして諸先輩の艱難辛苦の賜物とも言うべき各種書籍に結実していますが、勉強していても悩むのが臨床家。
書籍で学んだことをより生きた術としてより早く患者さんへ届ける為には、やはりその道の大先輩の話を直接聞くのが一番です。普段の臨床で引っかかっていた何かが解ける、代表の話を伺っていると、しばしばそんな感覚を覚えます。それはやはり、膨大な臨床経験とその中で数多の難病との凄まじい闘いを経てきた代表が語るからこそ、なのでしょう。
残念ながら、私は帰りの便の都合で講演の途中で中座せざるを得ず、後ろ髪を引かれる思いで熱海を後にしましたが、私の中では「お土産」は十分。来た甲斐があったと胸張って言える、有意義な時間でした。
順雪会を終えて
後日談ですが、地元に帰ってまた臨床に戻って早々、ある患者さんに督脈へ寸6の鍼を横刺する機会がありました。いつになく実にあっさりとできてしまい、効果も上々。
北辰会に通っていると、こういう事がよく起こります。
普段の定例会は、もちろん学ぶことはたくさんありますが、こうした宿泊型の研修会は、学びの密度が非常に濃くなるように感じます。
鍼灸医学は「手から手へ」の医学であり、願わくば師匠の傍らに居て、起居寝食を共にするのが理想とされますが、例え2日間であっても、そうした一つの空間を共有して、諸先輩から学びとるという機会はなかなかありません。おまけに遊びもある!
北辰会方式を学ばれている方々、学ぼうと考えている方には是非ともお勧めしたいですし、来年も私は参加します。何度もいいますが、楽しいですよ!
千葉顕嗣
来年度・冬季研修会「順雪会」開催のお知らせ☆
学びと出会いが、たくさん詰まっている冬季研修会☆
初めての方、不安な方もご遠慮なくお申込み下さい!
きっと、学びたかったことに出会えますよ◎
皆様のご参加お待ちしております!
日時:2019年2月10日(日)・11日(月祝)
場所:熱海温泉 大月ホテル和風館
詳細:下記PDFファイルをご覧ください(^o^)
申込み:下記の申込みフォームから簡単にできます^^