第10回 日本中医学会学術総会をレポートいたします!

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今総会は、日本中医学会が設立され10年目の節目となる大会であり、‘‘次世代中医学を目指して:我々は何をすべきなのか?‘‘をテーマに開催されました。今般のCOVID-19の影響からオンラインによる学会発表となりましたが、全国の医師、薬剤師を中心に各会派の先生方が日々の研究内容を余すことなく発表されておられ、また画面の近くに先生方のお顔が拝見できる和やか総会であったと感じました。

さらに今回は当日の内容に加え、第1回~第9回までの内容と今総会を合わせてオンデマンド配信していただけるという、なんともありがたい企画付きの内容でした。

(一社)北辰会と日本中医学会のこれまでの関わりとしては、2015年度に開催された第5回総会にて、当会学術部長である奥村裕一先生が『北辰会方式による穴性』というテーマで講演されており、北辰会の立場から、経穴の効能における解釈を歴代の医家、文献から非常にわかりやすく紹介いたしております。

この講義は今回のオンデマンド配信にも含まれており、大変勉強になりました。

また、2017年に熊本で行われた大会の際にも、奥村先生が「日本における中医鍼灸の需要とその役割」という内容のシンポジウムに登壇され、この年には竹下有先生が「妊娠により再生不良性貧血の再発が危惧された一症例」を発表いたしました。 https://hokushinkai.info/news/archives/2017-09-16-17.html

そして今回の第10回総会では、学術副部長である竹下有先生による「COVID-19治癒後の諸症状の一症例」が発表いたしました。

 

COVID-19治癒後に発症した腰痛並びに残存していた諸症状に対し、北辰会方式による弁証論治を駆使して治療した症例でした。

主訴は腰痛、胸背部痛、咳、呼吸困難感。

既往として肺気胸があるという30代男性。

弁証を湿熱痺(熱重湿軽)> 肺腎陰虚とし、左豊隆への瀉法を処置。

 

その他、「天枢」「関門」への瀉法も治療経過の中で使用されており、それぞれに虚実夾雑を踏まえたうえでの瀉法を行い、7診目(初診から34日後)には、諸症状はすべて消失し、以降数か月経過しても症状再発、悪化を見ず、見事に略治しております。

この経過から、中国鍼灸学会による『新型コロナウィルス感染症への鍼灸介入に関する手引き』第二版にもあるように、今症例の一番の主訴である腰痛以外の呼吸症状の改善からも、COVID-19と湿熱邪の関与が見て取れる症例となりました。

 

COVID-19に関しては未だ不明点が多いものの、後遺症の有無が問題視されており、その面からも一般の方々への不安感が高まっているように思います。

 

そのような中での今回の症例発表は、今後COVID-19を既往歴に持つ患者さんへのアプローチを示す一つの症例だったと思います。

 

テーマにもありますように、次世代中医学におけるアフターコロナ時代の一つの症状に我々が何をすべきか?という点において、北辰会方式の有益性を示した症例ではなかったでしょうか。

 

以上、レポートでした。

 

竹下先生ありがとうございました。

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