目次
≪ はじめに ≫
7月に入り、再び東京を中心とした都市部の感染者数に増加が見られ、再び不安の声を多く聞きます。
そんな中、これからの季節を踏まえ、如何に患者さんへの治療を行い、予防に備えるか?という事について当会 藤本新風 代表よりご提言頂きました。
≪ 『コロナ禍』~夏以降の考え方 Vol.1~ ≫
7月中旬現在、PCR検査の絶対数の増加もある中、東京都を中心にcovid19すなわち新型コロナウィルスの感染者数は増加している。梅雨も終わり、猛暑の時季を目前にする中、如何に考え、如何に目の前の患者さんの治療を行ってゆくべきかについて述べたい。
まず、振り返ってみるに、発生・発陳の時期である春季においてはコロナ禍に伴う自粛・不安感から、多くの方が運動不足であり、抑圧状態にあったといえる。
⇒内湿、気滞、脾気虚、肝気の疏泄失調、といった病理をひきおこしている。
春三月.此謂發陳.天地倶生.萬物以榮.夜臥早起.廣歩於庭.被髮緩形.以使志生.生而勿殺.予而勿奪.賞而勿罰.此春氣之應.養生之道也.逆之則傷肝.夏爲寒變.奉長者少. 『素問』四気調神大論
5月末には緊急事態宣言は解除されるも、すでに夏季に入っており、気温が上昇し続けるなかでの行動制限、マスクの常時着用、といったことは我々の医学からみると夏季にあるまじき、状況であり、さらに入梅による外湿の増加による影響も日々の臨床、自身の体調から感じられたことであろう。
⇒同上、内熱、表寒
7月以降、梅雨は明けるが、おそらく例年ほど外出することもなく、かつまた、体を動かす、という行動は乏しいと考えられる。例年以上に涼しい屋内で過ごし、冷飲冷食、運動不足、といった状況が予想され、さらにマスクによる害が表面化すると思われる。(熱中症・高炭酸ガス血症)
夏三月.此謂蕃秀.天地氣交.萬物華實.夜臥早起.無厭於日.使志無怒.使華英成秀.使氣得泄.若所愛在外.此夏氣之應.養長之道也.逆之則傷心.秋爲欬瘧.奉收者少.冬至重病.『素問』四気調神大論
『素問』四気調神大論に大変興味深く、かつ、重要な文言が並んでいる。
立秋(8月7日)以降、9月・・・冬にかけて
正気の面では「脾肺」「肺衛」が弱り、なおかつ気滞、寒湿、湿熱といった邪気停の病態が多くみられると考えられる
∴より感染しやすい、また感染した場合重篤化するケースが激増するといえるだろう。
⇒日本において生体側の不調和により重篤化する方の増加、いわゆる第2波が予想される。
まずは、当会会員各位が診られている患者の皆さんには、夏季における望ましい過ごし方を養生として伝えていただきたい。
3月31日に示した打鍼術は想定される上記の病理に対応しうる。
次回はさらに、毫鍼術による選穴例を示すので、臨床における参考にして頂きたいと思う。