他の流派、治療法との違い
一本鍼治療(少数穴治療)
北辰会方式と他の流派との違いにおいて、 最たるものが「一本鍼治療(少数穴治療)」です。
少数穴治療とは?
どのような病であっても、治療する場所は1ヶ所(多くても2〜3ヶ所)です。 |
1ヶ所の方が、気の流れがガラッと大きく変化してくれます。 |
主訴患部に鍼をすることはほぼなく、その病の根幹を解消できるツボを選びます。 |
内なる力を利用する
左右差の大きなツボを使うことで、気が分散されることなく、一方向に大きく動き、病の根幹である気の停滞や歪みを解きほぐします。 治療家の気を注入するのではなく、患者さんの偏った気を動かすため、体への負担を最小限に留めます。 |
治療後にヒント満載!
1本治療のあと、いろいろツボや脈など変化が起こります。どこがどう変わったかで、「どの程度治りやすいか」、「治るのに時間がかかるのか」、「本当に深い病理は何か」などいろいろなことがわかります。そして、もし変化が乏しい場合、「ここのツボではないな」、「病理はこれでないな」など、すぐに修正できるのです。 |
診察・診断・治療のルールが一貫している
①診察:病状・病因などをさぐる |
②診断:①診察を踏まえて、病状・病因などを判断する |
③治療:②診断を踏まえて、病気やけがを治す |
しっかりと学べば誰もが同じような診察・診断・治療を行うことができるようになります。
他の日本伝統鍼灸の流派との違い
診察法の違い
四診は東洋医学共通の診察法ですが、脈診を偏重する流派が多いようです。
北辰会方式は脈診に偏ることなく、腹診・原穴診・背候診・舌診・尺膚診など、それぞれの特徴的な診察意義(例:腹診では空間、舌診では寒熱陰陽)を踏まえたうえで、多面的観察をすることに重きを置いています。
とりわけ舌診を日本の鍼灸業界において初めて評価位置づけして『舌診アトラス』を出版しました。
刺鍼の違い
誰でも簡単にかつ確実にできる方法を採用しています。基本的には置鍼が中心となります。それも初心者のうちは、診察・診断が正しいことを前提に、補法を施す場合は虚側のツボを選び、瀉法を施す場合は実側のツボを選び、丁寧な刺鍼術を施せば、難しい技術を要さずとも鍼は効くものと考えています。しかし刺鍼技術を疎かにしているわけではなく、体表観察の際、フェザータッチで衛気を感じる訓練を積むことにより、刺鍼の際も衛気を捉えた繊細な刺鍼を心掛けています。衛気を捉える感覚を身に付けることにより、徐々に本来目指すべきである“気を動かす鍼”ができるようになります。また置鍼だけでなく、古代鍼や打鍼といった接触鍼や、レベルが上がると“翳す鍼”を用いることもあります。
- 初心者のうちは、ツボの虚実を適切に見極め、丁寧な鍼(簡単な補瀉)を施すだけでも十分に効果。
- 中級~上級になると、刺鍼時の衛気を捉える感覚や撓入鍼法を修得することにより、さらに効果的な“気を動かす鍼”を実現。
理論面の違い
北辰会は『内経』以来の歴史の発展性に学ぶところが大きいと考えており、『内経』『難経』あるいは『傷寒論』、といった特定の古典の理論に固執しておりません。中医学の用語を用いて弁証論治を行っているため、中医鍼灸学派の方々や、中医学系の湯液を扱う医師や薬剤師とも共通の言語で議論を行うことが可能となります。
- 特定の古典の理論に固執しない。
- 理論的基礎を中医学に置き、共通言語で議論を行うことを重要視している。
中医学との違い
診察法の違い
=上記に加えて、日本で独自に発展した体表観察を継承し、臨床実践を通じて発展させている。
鍼の種類・形状の違い
基本的に左右両側に刺鍼。
陰陽の「平衡の法則」を利用し、片側のみ刺鍼。
西洋医学と東洋医学を融合した流派との違い
北辰会方式では、鍼灸は“気の医学”であり、東洋医学的な世界観を貫くことこそが最も鍼灸の力を発揮するものと考えています。
西洋医学と東洋医学は思想的背景が異なった全く別の医学であり、現状においてそれを融合もしくは統合するというのは木に竹を接ぐ論であると考えています。
ただし、双方の協力を否定するものではありません。
美容鍼灸や柔整鍼灸について
北辰会方式では鍼灸医学とは “気の医学”であると考えており、器質や形(物体)よりも、「機能」を重視しています。単なる「物体」に対する物理的刺激による物理療法とは考えておりません。美容鍼灸・柔整鍼灸・鍼灸と整体の混合治療など、当会に入会したとしても個人の自由で行ってくださって構いませんが、医学としての鍼灸道を追求していただきたいです。北辰会は真の鍼灸医学を追求する会派です。指導的立場にある正講師は、美容鍼灸や整体・マッサージなど、鍼灸以外の治療法を取り入れることなく、北辰会方式のみで臨床実践している方限定で選抜しています。
※北辰会としては、このように各流派や治療法との違いもありながらも、業界全体として協調し、より良い医療を届けていこうと考えております。